ダイヤモンドといえば無色・透明の宝石を思い浮かべると思いますが、実はダイヤモンドは無色だけでなく、さまざまな色があります。今回は、カラーダイヤモンドについてお話ししたいと思います。
たくさんの色が存在するカラーダイヤモンド
単刀直入に言ってしまうと、ダイヤモンドはどんな色でも存在します。有名なのは、イエローダイヤモンドやブラウンダイヤモンド、人気が高いのはピンクダイヤモンドやブルーダイヤモンドでしょうか。それ以外にも無限に存在するダイヤモンドのカラーを色調順でご紹介します。
ピンクダイヤモンド
愛らしいピンクカラーが人気のダイヤモンド。安価なジュエリーにもピンクダイヤモンドが施されていますが、そのほとんどがカラー処理したもので天然のものではありません。産出量は通常の無色透明のダイヤモンドの0.01%で、1カラットアップとなると年間で数十個、2~3カラットアップのものだと年間に数個しか採掘されない希少性の高いカラーダイヤモンド。
レッドダイヤモンド
レア中のレアとまで言われるレッドダイヤモンド。存在すら知られていないカラーダイヤモンドです。ピンクダイヤモンドの中から選別されるカラーですが、ほとんど存在しないとまで言われています。それほど希少なレッドダイヤモンドなので、1カラットで美しい状態のレッドダイヤモンドですと都内の高級マンションが買えるほどの価格だそうです。
オレンジダイヤモンド
色の具合によってはイエローに見えたりブラウンに見えたりして、違う印象を与えてくれるカラーダイヤモンド。最高級のカラーはパンプキンダイヤモンドといわれる愛らしく人気のダイヤモンドです。
イエローダイヤモンド
カラーダイヤモンドの中では、手にしやすいのがイエローダイヤモンド。比較的カラット数の大きなものも出回っているため、さまざまなカットのイエローダイヤモンドが楽しめます。イエローダイヤモンドの中でもカナリアイエローと言われるものは最高級といわれています。
グリーンダイヤモンド
最近よく目にする鮮やかなアップルグリーンのダイヤモンドは殆どがカラー処理されたもので、天然のグリーンダイヤモンドは市場に出回ることがたいへん少ないです。黄緑色に見えるダイヤモンドの鑑定を見るとグリニッシュ・イエローとなっていますが、このカラーの場合はイエローダイヤモンドに評価されます。〇〇〇〇・グリーンと評価が付いているものがグリーンダイヤモンドとなり、見た目の違いは分かりにくいですが価格には大きな開きがあります。
ブルーダイヤモンド
鮮やかなブルーのダイヤモンドはマリッジリングの内側にあしらわれているものもありますが、そのほとんどがカラー処理されたブルーダイヤモンドです。天然のブルーダイヤモンドは、採掘される量が少ない上に店頭に出回ることはまずないほどのたいへん希少なダイヤモンドです。ブルーの色調によって価格も大きく変化しますがビビットなブルーカラーだと時代を超えても価値は下がらないといわれています。
バイオレットダイヤモンド
青紫色のダイヤモンド。希少性で言うとレッドダイヤモンドと並びます。
パープルダイヤモンド
赤紫色のダイヤモンド。レッドダイヤモンドやブルーダイヤモンドに並ぶほどたいへん希少なダイヤモンドです。もしも現物を目にすることができたなら、大変幸運だといえます。見た目はパープルカラーですが、鑑定結果ではピンクダイヤモンドになっていたり、深い色合いのものだとブラウニッシュと評価されることも。
ブラウンダイヤモンド
イエローダイヤモンドと同様に比較的案が出手に入りやすいブラウンダイヤモンドですが、ブラウンダイヤモンドが粗悪品という訳ではありません。ハイクオリティなブラウンダイヤモンドはコニャックダイヤモンドと言われ、コレクターの中でも大変人気です。
ブラックダイヤモンド
現在市場に出回っているブラックダイヤモンドの殆どがカラー処理されたもので、天然のブラックダイヤモンドは大変希少です。暗色の内包物で黒く見えます。オニキスやヘマタイトと見間違われやすいですが、輝きを強く感じるものがブラックダイヤモンドです。
カメレオンダイヤモンド
ある一定の温度(200℃~300℃程度)で数秒間変色するダイヤモンド。一般的にはカメレオンダイヤモンドは、通常の状態だとオリーブグリーン系の色で、加熱するとレモンイエローやオレンジカラーに変色します。中には加熱での変色だけでなく、冷蔵庫などの冷暗所に一晩おくと変化するカメレオンダイヤモンドもあります。
バイカラーダイヤモンド
一つのダイヤモンドの中に2種類の色が存在するダイヤモンド。大変貴重でほとんど市場に流通することはありません。
どうしてダイヤモンドに色が付くの?
通常なら無色透明であるはずのダイヤモンドにどうしてこんなにも無限に色が付くのかとても不思議で神秘的です。カラーダイヤモンドには人の手が加えられていない天然のもの(ナチュラルダイヤモンド)と、人工的に化学変化を起こし色を付ける(トリートメントダイヤモンド)の2種類が存在します。価格差は、もちろん天然のカラーダイヤモンドに軍配が上がりますが、デザインによって手軽に選べるのも処理されたカラーダイヤモンドの魅力といえます。ここからは天然と処理の色の付き方を解説していきます。
天然のカラーダイヤモンド
現在でも科学的に証明はされておらず謎が多いカラーダイヤモンドですが、放射能による結晶構造の変化やダイヤモンドの結晶化する最中に不純物が混ざり色が付いたというのが主な原因のようです。実はグリーンダイヤモンドだけは原因がほかの色のダイヤモンドと違います。ダイヤモンドが自然の放射線により構造的変化で着色され、グリーンに見えるのです。その他のカラーダイヤモンドは生成過程中に取り込まれた不純物の違いだけでカラーに見える過程は同じです。
・ピンク・レッドダイヤモンド:窒素原子が取り込まれて、隣の炭素原子が欠けることが原因
・ブルーダイヤモンド:ホウ素原子が取り込まれることが原因
・イエローダイヤモンド:取り込んだ窒素原子の量が炭素原子100万個に対して10~5500個(10ppm~5500ppm)含まれたことが原因
・ブラックダイヤモンド:ダイヤモンド内部にグラファイトや鉄鉱石などの鉱物がインクルージョンとして含まれることが原因
処理されたカラーダイヤモンド
人工的に色付けする方法は3つあります。
・放射線を照射する
・分子構造を変えて色を出す
・高温高圧(HPHT)プロセスなど
この中でも放射線処理だと人体への影響を気にする方もいらっしゃいますよね。放射線照射は1900年初期から行われており、初期は何年も残る強い放射性が問題視されていました。現在では中央宝石研究所ではガイガーカウンターを使用し、残留放射能について検査しています。その上で放射線処理後のダイヤモンドに、残存放射性が残ることは無いといわれていますのでご安心ください。
上記の3点以外に2007年頃からはコーティングダイヤモンドといわれる、表面を色のついた膜でコーティングされたダイヤモンドも出回っています。これは表面を加工してあるだけでメッキなようなものなので、剥がれてしまえば無色透明のダイヤモンドになってしまいます。取り扱いに注意が必要ですね。
まとめ
カラフルな色合い豊富なカラーダイヤモンド。
無色透明な光を放つダイヤモンドをすでにお持ちなら、次にカラーダイヤモンドはいかがでしょうか?
きっと、手元を上品でありながらも華やかに演出してくれる筈です。