ダイヤモンドの4Cについて
ダイヤモンドはどれも美しく輝いて見えます。しかしそれゆえにプロでなければなかなか石の本当の善し悪しというものは分かりにくいのではないでしょうか。高額な宝石でもありますから値段と価値がきちんと見合った物を購入したいものです。そこで今回はダイヤモンドの評価基準である4Cというものについてまとめました。
4Cの基準とその歴史
4Cはダイヤモンドの質や価値を判断する際に用いられる基準で、重さ(カラット)、プロポーション(カット)、色(カラー)、透明度(クラリティ)の4つになります。これらの頭文字を取って4Cと言うのです。ダイヤモンドは専門家でなければなかなかその価値を判断できない物ですから、この4Cがあることダイヤモンドに詳しくない購買者もその価値を知りやすくなります。
ダイヤモンドのこの4Cの定められた経緯はというと、1939年にまでさかのぼれます。4Cは当時、世界屈指のダイヤモンドの原石会社であるデビアス社によって考案されたものです。デビアス社の2代目の代表はダイヤモンドのGIAグレーディングシステムというものを考え出したのですがこれが基準となっています。また、実は当初は4Cではなく3Cという基準になっていました。この中にはカットが含まれていなかったのですが、これは唯一人の手によって行われるカットを判断するのが難しかったという理由のようです。
ちなみに4Cになったことには日本が大きく関わっており、カラット(重さ)を好む海外の人に比べて日本人はカットや職人技を評価する傾向があったため、4Cとしたということです。
GIAと鑑定書
GIAは米国宝石学会のことで4Cのランクを国際的基準として定めています。ダイヤモンドの鑑定書についてはこの4Cを基準としたものに基づき、各鑑定機関が発行します。鑑定書には4C以外にダイヤモンドの写真、サイズ、プロポーション、蛍光性などが書かれています。ちなみに鑑定書という物は一部を除きダイヤモンドのみに発行されるものであり、色石などにはこれとは別に鑑別書というものがつきます。鑑別書は鑑定書と違い、宝石の種類や起源などを明記した物で品質が評価されたものではありません。GIAなどのきちんとした鑑定機関の鑑定書があることはダイヤモンドを買う際の安心感にも繋がります。
ダイヤモンドの4Cのカラット(重さ)
ダイヤモンドのカラットの語源は古くBC500~600年頃のインドにあるのではとされています。当時、その地域に住むドラヴィダ人という民族の人達は、カロブという豆を用いてダイヤモンドの重さを見ていたそうです。カラットの語源はこのカロブという言葉から来ているようです。カロブ豆の重さは一粒0、2gです。現在のカラットもその価値は大きさではなく重さで変わります。1カラット(ct)は0、200であり、1gあれば5カラットとなります。通常原石は1カラット未満の物が多いので大粒の物であれば希少価値は非常に高くなります。
ダイヤモンドの4Cのカット(プロポーション)
ダイヤモンドのカットは自然から生まれ出るものではなく、熟練の職人の技によって行われるものです。ダイヤのカットはその研磨を施す人の技によって価値が変わってくると言えるでしょう。GIAはカットのランクを上から、EXCELLENT(最上級)、VERYGood(理想的)、good(良好)、Fair(やや劣る)、poor(劣る)という風にしています。またカット、対象性、研磨の状態が全てEXCELLENT(最上級)を受けたダイヤモンドを3EX(トリプルエクセレント)評価の石としています。
H&C(ハート&キューピッド)について
これは4Cではありませんが、カットの良さで表われるものです。これは優れたカットダイヤだけに見られる現象で、光の陰影により下から見るとハートの模様、上から見るとキューピッドの矢のような模様が見えるというものです。このハート&キューピッドのダイヤモンドは輝きを強く発する美しいダイヤモンドなのです。
ダイヤモンドの4Cのカラー(色)
ダイヤモンドは無色透明な色の物が基本的には美しく、価値が高いとされています。一般的には黄色の強いダイヤモンドは無色の物に比べて価値が低いとされています。しかしながらダイヤモンドには色のついたファンシーカラーのダイヤモンド(天然の物)が発見されることもあり、色が非常に濃い物である場合、黄色のダイヤでも非常に希少価値が高くなります。また、黄色や茶色っぽいダイヤは無色の物より価値は低いとされていても茶色のダイヤをシャンパンカラーと呼び愛好する人達もいます。ファンシーカラーダイヤには黄色の他にも青、ピンク、赤、緑など様々な色があります。青いダイヤで世界的に有名なのは数々の貴族や富裕者の間を当たり歩いたホープダイヤモンドでしょう。この青いダイヤは持ち主が次々と不幸な目に会うという伝説があり呪いのダイヤモンドなどと呼ばれました。逸話が本当かどうかはどうあれ宝石の美しさが時に魔力的であるということを物語っているのでしょう。
さらにピンクのダイヤモンドなどはその色が愛や可愛らしさを想像させるためか、エンゲージリングとしても人気です。ファンシーカラーのダイヤモンドについても鑑定書があり、その価値は色の深さや鮮やかさによって評価されます。しかしながらカラーのダイヤには人工着色や人為的に色を変えた石もあるので注意しなくてはいけません。
ダイヤモンドの4Cのクラリティ(透明度)
ダイヤモンドのクラリティ(透明度)は石の傷や欠け、内包物の有無、大きさ、場所、性質などを見て価値の評価が変わります。ダイヤモンドの中に内包物が多いと透明度が曇ってしまうので無色ダイヤは価値が下がってしまうのです。GIAが定めたクラリティの評価ランクは上から次のようになります。
FL(10倍の拡大でも無傷)、IF(10倍の拡大で微少な欠点)、VVS(10倍の拡大で発見困難な欠点)、VS(10倍の拡大で発見が多少困難な欠点)、Sl(10倍の拡大で発見が容易、肉眼では困難)、I(肉眼で容易に発見できる)となります。透明性は無色ダイヤの美しさを大きく左右する一つなので重要な部分です。
4C以外の基準(蛍光性)について
蛍光性は4Cではありませんが、ダイヤモンドが天然の物であるか知る上で重要な物となります。天然のダイヤモンドは紫外線を当てると発光する性質があるので天然か人工のダイヤなのか見分ける指針となるのです。この蛍光性にもその強さが鑑定書の中にランクとして書かれていますが、これはダイヤの品質を表すものではありません。しかしながら蛍光性の強いダイヤは人工灯の下などで白っぽくなるという業者もいて販売する側にはあまり歓迎されないという一面もあるようです。
まとめ
いかがでしたか?4Cはダイヤモンドの価値を専門家でない人達が見る上でその価値を知るための基準となってくれるものでしたね。きちんとした鑑定機関の鑑定書があるのはエンゲージリングなど重要な買い物をする上で非常に安心感を与えてくれる物です。しかしながらそれ以外にもダイヤの価値は個人の主観で選ぶべきものでもあるということも考えておいた方が良いでしょう。4Cと同様に大切なのは自分が気に入ったと思えるダイヤを見つけることなのです。