大切なダイヤモンドジュエリーのお手入れはどうされていますか?滅多に使う機会のないエンゲージリングなどは、箱の中にしまいっぱなしになっている方も多いのではないでしょうか。普段使いのジュエリーも、大切な日の装いのジュエリーも、時々メンテナンスしましょう。お手入れ方法や保管の仕方について、まとめてみました。
まずは、ダイヤモンドや地金の素材の特性を知りましょう。
ダイヤモンドについて
ダイヤモンドの特性
ダイヤモンドはあらゆる物質の中でもっとも硬い鉱物で、宝石や研磨剤として利用されています。さまざまな特性がありますが、比較的扱いやすくお手入れがしやすい宝石です。
・光学特性
ダイヤモンドの需要な特性の一つに「光学特性」があります。ダイヤモンドの屈折率は2.42で、物質中で最大の部類に入ります。内部での全反射が起こりやすく、ダイヤモンドのカットとして用いられるブリリアントカットでは、光を当て反射を見ると3種類の輝き(シンチレーション、ブリリアンシー、ディスパーション)の相乗効果で美しく見えます。
・劈開性
ダイヤモンドは地球上で一番硬い鉱物ですが、ある一定の面に沿って割れやすい性質、劈開性があります。ほかの物質ではなかなか傷つけられることはありませんが、結晶方向に対する角度を考慮して瞬間的に大きな力を加えたり、燃焼など人偽的に促進すると簡単に壊すことができます。傷があれば、カッターナイフを当てて手で叩いただけで割れてしまします。
・熱伝導性
ダイヤモンドは熱伝導性がとても高いことと、触るとひんやりと冷たいことが特徴です。
・親油性
油となじみやすい親油性があり、ジュエリーとして身に着けているうちに皮脂や化粧品などがつくと、油の膜によって光がダイヤモンド内に入らなくなって輝きがくすんでしまいます。逆に、水にはまったくなじまずはじきます。
・熱や酸、アルカリに強い
熱、酸、アルカリに対する強さは宝石の中で一番です。空気中での燃焼温度は750度から800度で、表面の石墨化が始まります。
ダイヤモンドジュエリーのお手入れ方法
ダイヤモンドのクリーニングは、おうちにあるもので簡単にできます。お手入れを始める前に、ダイヤモンドを留めている爪が緩んでいないかをチェックしましょう。つまようじなどで軽くつついてみて、カタカタ動くようなら石留めが緩んでいるので、修理に出しましょう。
用意するもの
- ボールなどの容器
- ぬるま湯
- 中性洗剤
- 歯ブラシ
- タオル
- ボールなどに、ぬるま湯と少量の中性洗剤を入れ、混ぜます。石鹸を使うと、石鹸カスが残ることがあるので、使わないようにしましょう。
- その中にダイヤモンドジュエリーを入れ、しばらく浸しておきます
- ジュエリー全体を軽く歯ブラシでこすります。石座の裏や爪と石の間などが特に汚れが溜まりやすい場所です。この方法で汚れが落ちない場合は、中性洗剤を入れたぬるま湯に、30分ほど浸しておきましょう。
- 水かぬるま湯でよく洗い流します。
- タオルで水分をふき取り、乾かします。
本格的にきれいにしたいという方には、超音波洗浄器もおすすめです。ダイヤモンド以外の宝石が付いている場合は、お手入れ方法が変わってきますので、気をつけましょう。宝石によっては水に弱い物、中性洗剤に弱いものもあります。
プラチナについて
プラチナの特性
プラチナは元素記号はPt、白金族元素のひとつです。学術的には「白金」ですが、日常的には「プラチナ」と呼ばれています。銀色の光沢を持ち、化学的に非常に安定しているので装飾品として多く使われるほか、触媒としても自動車の排気ガスを浄化するなど、多く使われています。
・純度が高い
プラチナは非常に純度が高く、日常生活で使用していても変質・変形することがあまりないので、長い年月を経てもその輝きが失われることがありません。プラチナの純度は千分率で表し、Pt1000が純プラチナです。一般的にジュエリーとして使われるのはPt950、Pt900、Pt850です。もともとプラチナには、柔らかく伸びやすいという加工のしやすさがありますが、純プラチナは地金がやわらかすぎてジュエリーには向きません。Pt950なら5%、Pt900なら10%のパラジウムやルテニウムなどを入れて加工し、合金にしています。そうすることで硬度、強度、粘性を高めています。
・密度が非常に高い
プラチナは密度21.45と、自然界に存在する元素の中で最大の密度を誇っています。密度が高いということは、重量があるということです。ゴールドの密度も非常に高いのですが、プラチナには及びません。
・酸に強い、溶けにくい
プラチナの性質は、化学的に極めて安定しており非常に酸化しにくく、融点が高いので溶けにくいという特徴があります。普通の酸には溶けませんが、「王水」と称する濃硫酸と濃塩酸の混合溶液でしか溶かすことができません。高温に対する耐久性があり、融点はゴールドやシルバーよりはるかに高い1,768℃。火災があってもプラチナは溶けることがありません。丈夫で傷が付きにくいことや、ほかの化学物質に触れても変化しにくいという点でも、プラチナはジュエリーには最適な貴金属だと言えます。
・間違われやすい呼び名「白金」
プラチナは日本語で「白金」と表記するため、「ホワイトゴールド」と混同されることも少なくないのですが、全く別の金属です。「ホワイトゴールド」は、金にパラジウムを混ぜた白色の金で、地金の価値としてはプラチナの半値ほどになります。
プラチナのお手入れ方法
プラチナのお手入れはとても簡単で、着用後にやわらかい布で軽く磨くだけです。「着けたら拭く」を習慣にしましょう。磨く布はハンカチでもいいのですが、研磨剤入りの貴金属磨きクロスやセーム皮があるととてもきれいになります。少し汚れが気になってきたら、洗剤を使ってクリーニングしましょう。プラチナジュエリーのお手入れ方法は、「ダイヤモンドジュエリーのお手入れ方法」と同じ手順です。
プラチナの美しい輝きはずっと変化することはありませんが、ずっと身に着けていると表面に細かな傷ができて、輝きが曇ってしまうことがあります。お店や工房で磨きなおしてもらうと、新品のような輝きを取り戻すことができます。
ゴールドについて
ゴールドの特性
ゴールド(金)の元素記号はAu、第11族元素に属する金属元素で、黄色い光沢があります。やわらかく加工しやすいこと、華やかな光沢を持つことなどから古くから宝飾品として使われています。昔は金貨として、現代はエレクトロ分野でも利用されています。
・優れた延性、展性
重く柔らかいゴールドは、金属の中で一番延性、展性に優れていて、木づちで叩くと薄く延ばすことができます。
・酸や熱に強い
プラチナと同様に滅多に化学反応を起こすことがなく、普通の酸には溶けません。ゴールドを溶かすことができるのは、一部の有機溶媒と王水だけです。融点は1064℃。プラチナほどではありませんが、高温に対する耐久性があります。
・純度
ゴールドの純度は「K」で表し、純金はK24、ジュエリーによく使われる18金はK18と表記します。純プラチナと同様に、純金は、純度は高いが硬度は低いという特性があり、やわらかく傷つきやすいのでジュエリーに向きません。K18は75%が金、25%は銀や銅などのほかの金属を混ぜて合金にしています。
ゴールドのお手入れ方法
酸や錆に強いゴールドはお手入れも簡単。お手入れ方法はプラチナと同様に、着用後はやわらかい布で軽く磨き、輝きがくすんできたなと思ったら中性洗剤に浸して歯ブラシで磨くようにしましょう。お手入れ方法は「ダイヤモンドジュエリーのお手入れ方法」を参照してください。
それでもくすみが気になるようなら、日常的に身に着けているうちに細かい傷ができてしまっているのかもしれません。そんな時はお店や工房で「新品仕上げ」を依頼すると、見違えるようにきれいになります。
ダイヤモンドジュエリーの保管方法
ダイヤモンドは非常に硬いので、宝石同士傷つけたり、貴金属部分を傷つけてしまうこともあります。保管する際は、ジュエリーボックスなどに入れゆとりを持たせて、宝石同士がぶつかり合わないようにしましょう。