ダイヤモンドのカラットについて
ダイヤモンドは輝きや透明度も美しいですが、その重量からも価値の判断基準が変わってきます。それがダイヤモンドにおけるカラット(Ct)と呼ばれる基準です。今回はそんなカラットについての知識と逸話などについてまとめました。
カラット(Ct)とは
カラットはアメリカのGIA(米国宝石学会)が定めているダイヤモンドの価値基準、4Cの一つです。カラット以外にはカット(プロポーション)、カラー(色)クラリティ(透明度)があります。カラットについては誤解されがちなのが、ダイヤモンドの大きさではなく重さの基準であるということです。
1Ct=0、200gで1gは5Ctになります。カラットは重さがあればあるほど希少価値が高くなります。
世界で発掘された巨大なカラットのダイヤ達
世界のダイヤモンドの発掘上からは時に信じられないほど大きく美しいダイヤモンドが発見されることがあります。ここからはその中でも有名な物をいくつかご紹介したいと思います。
1 パシャダイヤモンド
パシャダイヤモンドは1848年にエジプトの総督がどこから来たか不明のダイヤを購入したことからその逸話は始まりました。最初、大きさは40カラットもあり形は八角形であったそうです。その後、このパシャダイヤは一時行方不明となってしまいますが、その後、アメリカ人の元に渡っていたらしく再び姿を表します。この新しいパシャダイヤの持ち主はこの八角形があまり好みではなかったらしく、宝石店に新たなカットにしてもらうよう依頼したそうです。そのような経緯を経て、パシャダイヤは38カラットの指輪に加工されます。また、その後もインド、モロッコ、モンテカルロなど様々な持ち主に元を転々とし、現在は36カラットのラウンドブリリアンカットのダイヤモンドとなっています。
2 ウィリアムソンダイヤモンド
こちらは大きなピンクダイヤモンドの逸話です。このダイヤは1947年10月にケベックの地質学者がタンザニアの鉱山にて発見した54カラットのピンクダイヤモンドです。このピンクダイヤは当時のエリザベス王女、つまり後のエリザベス女王の結婚祝いに原石が贈られました。その後、23カラットのブリリアンダイヤモンドにカットされましたが、1953年に女王が自分の戴冠式にこのダイヤをあしらった花を模したブローチにしてくれるようにカルティエ社に依頼しました。こうして完成したのがエーデルワイスの花のデザインにこのピンクダイヤが飾られたブローチなのです。
3 ザ・ゴールデン・エンプレス
こちらはアフリカのレソト王国という所から発掘されたイエローダイヤモンドです。レソト王国は国土全体の標高が1、500mという国で、天空の王国、アフリカのスイスなどと呼ばれています。ここは世界でも有数のダイヤの産地でもあります。このレソト王国で発掘されたザ・ゴールデン・エンプレスは大きさが世界最大級のイエローダイヤと言われ、カラット数は132、55カラットになります。現在はイギリスのハイジュエリー・グラフが所有しているということです。ちなみにこのレソト王国では、他にも2006年にレソトプロミスと呼ばれる603カラットもあるダイヤが発掘されています。
4 グリソゴノダイヤモンド
こちらは珍しいグリソゴノダイヤモンドという、大きなブラックダイヤモンドです。今まで発掘されたブラックダイヤの中では最大級の物となります。また、全てのダイヤモンドの中でも5番目に大きいものになります。カラット数は312、24カラットになります。この グリソゴノダイヤモンドはアフリカで発見された後、スイスに渡りカットを施されました。形は丸く、その周囲を小粒のダイヤが飾るようなデザインになっています。
5 オルロフ
こちらは現在、モスクワのクレムリンの宝石コレクションとして飾られているファンシーカラーダイヤモンドです。カットはローズカットで、色は淡い青~緑で大きさは189、62カラットあります。伝承では元々はスリランカの寺院にある女神像の瞳にはめ込まれていたと言われています。しかし1750年頃に盗難され行方をくらました後、グレゴリー・オルロフ氏の所有となりました。
6 ゴールデンジュビリ
このダイヤは545、67カラットもある大きなブラウンダイヤモンドです。「アフリカの偉大なる星」とも呼ばれます。現在ではファセットカットが施され、少し小さくなりましたが、原石はなんと755,5カラットもあったというのですから驚きです。
7 カリナン
カリナンは人類史上で最大のダイヤモンド原石であると言われています。なんとその大きさは106、75カラット(621、35g)もあります。このダイヤはあまりにも大きいので9つに分割されました。このダイヤモンドを分ける際、そのあまりの緊張に職人が気を失ってしまったという話もあるほどです。分割された物でもカリナン1は530、4カラット、カリナン2は317,4カラッとあるなど、その大きさは最大級であることがうかがえます。
8 クレサンサマンダイヤモンド
こちらは104,15カラットもあるファンシーオレンジブラウンダイヤになります。南アフリカで発掘され、最初は198、28カラットもありました。その後、ペアシェイプという形にカットされました。ちなみにクレサンサマンダイヤモンドの(Chrysanthemum)とは菊の花という意味のようで、このオレンジがかったダイヤに花のイメージを重ねたのかもしれません。
9 アーススターダイヤモンド
このダイヤは1967年に南アフリカのオレンジ自由国で発見されました。111、59カラットあるブラウンダイヤになります。しかしブラウンダイヤといっても色はコニャックと呼ばれるブランデーを思わせる赤みがかったブラウンカラーで非常に深みのある魅力的な色をしています。さらに色だけでなく輝きも強い美しいダイヤモンドです。
10 ホープダイヤ
あの有名な呪いのブルーダイヤ、ホープも元はカラットとしてはかなりの重さを誇る物でした。このホープは伝説によれば9世紀のインドのデカン高原にある村の川で、一人の農夫によって発見されたと言います。しかしその農夫は侵攻してきたペルシャの軍隊によって殺され、このダイヤも奪われてしまいます。しかし、その献上先のペルシャの王もホープを献上した司令官も死んでしまいます。その後、ホープはインドの寺院の神像の目として飾られていましたが、フランスの業商人が盗みだしてしまいます。そして因果なことにその業商人もその後ロシアで惨死してしまいます。そのような経緯の後、ホープはフランス王朝のルイ14世に買い取られました。(ここでホープはハート型の68カラットにカットされます)
しかしその後、フランス革命により王朝は滅びます。その後も有名女優、宝石商、実業家などの手を次々と渡り歩きましたが、その全員が悲劇的とも言える結末をむかえています。そしてこの呪いのホープダイヤは1958年にアメリカのスミソ二アン博物館に飾られることになり、現在は特定の人物の所有ということもなく、ガラスケースの中でその呪いと称されたほどの言える美しい輝きを放っているのです。
まとめ
いかがでしたか?カラットもダイヤの評価においては非常に重要な要素のようですね。また、世界にはたくさんの国宝級とも言える稀少なダイヤがあることが分かりましたね。
今度博物館などを訪れた際はぜひ見てみてください。