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シルバーとシルバージュエリーについて

シルバージュエリーについて

プラチナやゴールドにはまだ手が届かないけど、初めてのジュエリーとの出会いはシルバーだった、という人も多いのではないでしょうか。気軽に楽しむことができるシルバージュエリーと、シルバーの歴史や特徴についてまとめてみました。

シルバーの特徴と性質

英語で「銀」のことで、貴金属の一種であり元素でもあります。古くは銀貨として、またジュエリーやフォーク、スプーン、ナイフなどのシルバー食器などに使われています。

明るく美しい金属光沢をもつシルバーは、光の反射率が可視領域にわたって98%ととても高いことから、大和言葉で「しろがね」または「しろかね」と呼ばれていました。研磨することでプラチナよりも強い輝きを出すことができ、電気伝導率、熱伝導率、可視光線の反射率ともに金属の中では最大です。延性、展性に富み、その性質は金に次いで、1gのシルバーは2200mもの線に伸ばすことができます。

貴金属の中では比較的酸化しやすく、空気中に硫黄化合物が含まれていると、表面に硫黄物が生成し、黒ずみやすくなってしまいます。

シルバーの歴史

シルバーは人が使用した最初の金属で、紀元前5000年頃には人々の生活の中に入ってきていました。古代でシルバーが使われていたころは、ゴールドよりもシルバーの方が価値が上でした。古代エジプトでは、ゴールドにシルバーのメッキがされたジュエリーも存在していたのです。これは自然金より自然銀の算出の方が少なかったことによります。

貴金属でありかなりの量を市場に供給できるシルバーは、ユーラシア大陸では工芸素材のほか商業用の高額な決算手段として使われていました。古代ギリシアではアテネが優良な銀山を持っていたので、この銀山の利益がアテネを有力なポリスに伸し上げるのに大きな役割を果たしました。また、アテネがこのシルバーで鋳造した銀貨はドラクマと呼ばれ、広い地域において流通していました。

その後、世界中で銀貨が決済手段として流通するようになりました。1518年、ボヘミヤのザンクト・ヨアヒムスタール(現在のヤーヒモフ)で採掘されるシルバーをもとに、ヨアヒムスターラーと呼ばれる大型銀貨が鋳造され、以後ヨーロッパ銀貨の基準となりました。各国でこれと同じターラー貨が鋳造されるようになり、「ターラー」が「ドル」の語源となりました。銀器としては、紀元前1世紀頃のインダス文明で使われ始めました。

現在でも多くのシルバーアクセサリーの素材となっている「シルバー925」はシルバーの純度を1000分率で表したもので、別命「スターリングシルバー」と呼ばれています。その由来は、イングランドのヘンリー2世の時代に銀貨を鋳造していた「スターリング家」によるものです。イングランド王ウィリアム1世が初めてシルバー925を採用したことから、スターリングシルバーと呼ばれています。

日本最古のシルバー製品と日本の銀山

北海道の羅臼町と標津町の境にある植別遺跡から、紀元前300年の墓からシルバー製品が発見されています。日本では飛鳥時代までシルバーは産出されず、674年の対馬銀山の発見が始まりでした。戦国時代までには各地で銀山が発見され、日本のシルバー産出量は16世紀半ばには激増しました。なかでも最も産出量が多かったのは島根県大田市の石見銀山で、世界遺産にも指定されています。ほかには兵庫県の生野銀山などでも大規模な採掘がされましたが、その後資源が枯渇したため、世界の銀産出地から日本の名前は消えてしまいました。

シルバーの採掘のはじまり

紀元前5000年頃からシルバーは使用されていましたが、その抽出方法は不明です。明確な記録があるシルバーの採掘は、紀元前2500年頃、現在のトルコ周辺の鉱山でアルデア人が鉱石からシルバーを抽出する技術を獲得したと言われています。19世紀になり採掘精錬技術の進歩とともに、シルバーがより人々の暮らしに身近で手ごろになりました。

ジュエリーとしてのシルバー

シルバーは白く美しく輝くことから、広くジュエリーとしても利用されてきました。一番古いジュエリーは、紀元前3000年頃の古代ジュメールの都市、ウルでシルバーを素材としたジュエリーが見つかっています。16世紀、コスタリカ系のインディアンがシルバーの銀細工師として高い芸術性を持つようになり、17世紀にはニューヨークのアメリカンインディアンがヨーロッパの銀貨をジュエリーに変えました。ティファニーがシルバーを手掛けるようになったのは、1850年代のことです。

現代は、貴金属の中では比較的安価であることから、日本では若者向けのジュエリーとされることが多かったのですが、最近は一般向けにも多く利用されています。ジュエリーとして利用する場合、純銀では柔らかすぎるため「割り金」と呼ばれるほかの金属との合金の形で利用されます。

シルバージュエリーができるまで

多くのジュエリーは「鋳造」、別名「ロストワックス」という技法で作製されます。

  1. まずデザイン画を起こします
  2. ワックスを使用し、ジュエリーの形を形成します
  3. 型にワックスを入れ、埋没剤を入れる
  4. 真空脱泡装置にかけ、中の空気を抜く
  5. 埋没剤が乾いて固まったら、電気炉で焼く。熱でワックスが溶けて鋳型ができる
  6. キャストマシーンに入れ、鋳型に溶かしたシルバーを流し込む
  7. 取り出した鋳型を自然冷却し、その後超音波洗浄機にかけ埋没剤を取り除く
  8. パフやリューターを使って研磨する
  9. 必要に応じて加工、石留めなどをして、最終的な研磨をして完成

シルバーの黒ずみの原因となる身近な物

放置しておくと黒く酸化してしまうことで知られているシルバーですが、身近にある次のようなものが原因で酸化してしまいます。温泉、パーマ液、化粧品、シャンプー、台所洗剤、接着剤、卵、玉ねぎ、空気中の硫黄など。

シルバージュエリーのお手入れの仕方

シルバーの酸化を防ぐには、まめなお手入れが必要になります。放置しておくだけで少しずつ輝きを失うとともに、黒ずんできてしまいます。ひと手間かけて大切なシルバージュエリーを守りましょう。いくつかのお手入れ方法をご紹介します。

・銀磨きクロスを使う
シルバーアクセサリー専用のクロスで磨くことで、黒ずみを落とすことができます。

・シルバークリーナーを使う
クロスでは落ちない黒ずみは、シルバー専用のクリーナーを使いましょう。液体なので5秒間浸しておくだけできれいになります。水洗いした後、乾いた布で拭くだけの手軽さです。

・シルバーポリッシュを使う
クリーム状のシルバーポリッシュは、頑固な黒ずみも落とします。クロスに少量出して磨きます。

・家にあるもので
身近にあるものでもシルバーの黒ずみを落とすことができます。重曹、中性洗剤などもシルバーをきれいにしてくれるので、専用のクリーナーがないというときには試してみてください。

シルバージュエリーを保管するには、なるべく空気に触れないようにするときれいなまま保つことができます。小さなチャック付きポリ袋などが、シルバーの保管に適しています。

魔除けと幸運のお守りになるシルバー

伝説では、ゴールドは太陽を表すことに対し、シルバーは月を象徴します。シルバーはその優しい輝きから三日月、月の女神と結びつけていました。古代よりさまざまな言い伝えがあり、「幸せになれる」「恋人ができる」「裕福になれる」「願いがかなう」など幸運と魔除けのシンボルとして親しまれてきました。ヨーロッパでは古くから「19歳の誕生日にシルバーのジュエリーを贈られると幸せになる」というジンクスがあり、世界中に広まっています。

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