SVやAGと表記される、白い輝きが魅力の銀は昔から宝飾品に使われ愛されてきました。産出量も比較的多い貴金属で、国内では若者向けのアクセサリーに使われ、人気を博しています。また、加工のしやすい金属なので、彫金やシルバークレイなどのハンドメイドの材料としても幅広く愛されています。
今回は、シルバー(銀)のあれこれについてご紹介します。
純銀は宝飾品には不向き?
純銀はとても柔らかく傷つきやすい金属です。その為、他の金属を混ぜて合金にすることで丈夫なシルバーアクセサリーに仕上げます。有名なのは925SV(スターリングシルバー)で純度が92,5%の銀製品であることを示しています。純銀(1000SV)よりは固く傷がつきにくいですが、K18(ゴールド)やPT(プラチナ)よりは柔らかく、小さな石を留めるパヴェセッティングや細くてシンプルな華奢なデザインはゆがみやすく不向きの為、メンズやレディース問わず、太めで無骨なボリュームのあるデザインが主流です。
意外とたくさんあるシルバーの種類
シルバーは純度のほかにもプラチナやゴールドと混ぜられ色を付けられることもあります。そのいくつかをご紹介します。
シルバー1000(SV1000・Ag1000)
純度100%のシルバーで、ファインシルバーと呼ばれることもあります。柔らかく重いため、宝飾品には向いていません。
シルバー950(SV950・Ag950)
銀95%と銅またはその他の金属を5%混ぜた地金。925に次いで宝飾品に使われることの多いシルバーです。ブルタニアシルバーと呼ばれることもあります。
シルバー925(SV925・Ag925)
銀を92.5%、銅またはその他の金属を7.5%混ぜたシルバー。硬度も高く、シルバーの中でアクセサリーに最も使われる地金です。スターリングシルバーとも呼ばれます。
四分一(しぶいち)
銅を75%、銀を25%を混ぜた日本古来の色金の一つ。少し赤身の強い輝きを持ち、銀の比率が四分の一であることから名付けられています。昔から愛されている伝統的な地金で、朧銀(ろうぎん、おぼろぎん)とも言います。
赤胴(しゃくどう)
銅とゴールドを3%混ぜた地金。一般的には三分刺し(さんぶさし)のことを赤銅と言いますが、三分刺しのほかには一分挿し(いちぶさし)、五分挿し、八分挿しと混ぜる銀の割合に違いがあります。ほとんどが銅なので、変色しやすく、赤みが強いのが特徴です。
プラチナシルバー
プラチナと混ぜられたシルバー。プラチナ100ともいわれます。90%のシルバーと10%のプラチナを混ぜてあり、925と比べると光沢に深みがあります。プラチナと混ぜられている為、シルバーの特性である変色を抑えて白い状態を保ちます。
ピーファイブ
シルバーを95%とプラチナ5%を混ぜた合金。強めの白い輝きが続きシルバー925やシルバー950のように、黒く変色しないのが特徴です。
ゴールドプラス
シルバーにゴールドを混ぜた地金。硬度が高くて、変色しにくいシルバーです。
ピンクシルバー
銅またはゴールドやパラジウムを混ぜてピンクの色合いにした地金。優しい輝きが特徴で、銅の割合が高いと黒く変色しやすくなります。硬度は高めです。
イエローシルバー
黄色味を帯びたシルバーでゴールドよりもシルバーに近い色合いです。
加工を施されるシルバー
油断するとすぐに硫化して黒く変色を起こしてしまうのが難点なシルバーですが、加工を施すことで、この変色を防ぐことができます。この加工をコーティング、またはメッキ加工といいます。いくつかご紹介しましょう。
ロジウムコーティング
シルバー以外にもプラチナやホワイトゴールドなどにも利用されるロジウムコーティング。ロジウムコーティングを施すと、傷防止にもなります。シルバーの地の色よりもプラチナに近い色合いです。ロジウムコーティングされているシルバーはお手入れが大変楽なのも特徴です。マメに磨かなくても長時間輝きが失われず、傷もつきにくくなります。ただし、変色しないので、いぶし加工(黒く変色したような加工)は出来なくなります。
様々なメッキ加工
コーティングには、ロジウム以外にもピンクゴールドやグリーンゴールド、ブラックニッケルなどもメッキ加工が可能です。メッキなので使用期間が長くなれば剥がれてしまいますが、再度メッキ加工を施すことも出来ます。
変色するシルバー
シルバー製品は変色をします。これは錆びなどではなく、空気中の硫黄分や化粧品、汗などの硫黄分との化学変化で硫化銀の皮膜を作って徐々に黒ずんで変色をします。
この変色は市販のシルバー磨きのクリームやクロスで輝きを取り戻すことができます。保管しているだけでも真っ黒に変色していくので、長期的に保管をする際には、密閉できるビニール袋やシルバー専用の保管袋に入れて、保存をすることをお勧めします。
シルバーのお手入れ
黒く変色してしまったシルバーも適切なお手入れで元の白い輝きを取り戻します。
いろいろな方法がありますが、一般的な方法を見ていきましょう。
- 水やぬるま湯に浸けて中性洗剤で洗います。軽い汚れの場合はこれで落ちますが、酷い汚れの場合は専用のクリーナーや超音波洗浄機で洗います。
- 専用のシルバー磨き用のクリーナーや歯磨き粉を付けて、シルバー磨きの布で磨きます。
クリーナーが多すぎると真っ白になってしまうので、布でしっかりとふき取りましょう。 - もう一度すすぎ、水気をきれいにふき取ります。その後、変色防止剤の入った専用のクリーナーで磨くか、変色防止剤を使います。
※この時、使用するクリーナーは必ずシルバー専用のものを使いましょう。
ハンドメイドも出来る、シルバー
銀は本来とても柔らかい金属なのでとても加工がしやすく、その上低い温度で溶かせるので、ハンドメイドの材料としても人気です。その中でも仕上がると純銀になるシルバークレイが人気です。純銀の微粉末と水とバインダーが混ざり合った粘土状の素材で、焼き上げると純銀に変わります。
粘土感覚でシルバーアクセサリーが作れることはもちろんですが、相田化学工業が銀製品のリサイクルとして作り出した、エコな製品というのも人気の理由の一つです。仕上がった銀製品は純銀となるので壊れやすくなりますが、手軽にオリジナルアクセサリーが作れるとあって、シルバーという素材がより身近に感じられる一品です。
シルバーの評価格
プラチナやゴールドがグラムいくらで取引されるように、シルバーも同じく地金価格が毎日変動しています。現在のシルバーの価格は1g 66.63円となっています。ゴールドが1g 4,887円なので、シルバーが身近で扱いやすい地金であることがよくわかるかと思います。
1gと考えるとこれだけの価格差になりますが、アクセサリー1つとして考えるとどうでしょう。シルバーはボリュームのあるデザインが中心なので、飽きてしまったアクセサリーが買い取り業者に持ち込むと意外な価格が付くこともあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
シルバーと聞くと、とても身近な金属ですが、意外とたくさんの種類があるのです。昔よりもたくさんの加工技術があるので、シルバー=手入れが大変とは限りません。
次回、シルバーアクセサリーを選ぶ際には参考にしていただけると嬉しいです。