ダイヤモンドを購入する際には、ほとんど鑑定書が付属しています。鑑定書ではカット、カラー、クラリティ、カラット別にそれぞれ評価がされており、ダイヤモンドの価値について細かく記載された大切な証明書です。この評価の基準となるのが4Cです。ダイヤモンドを選ぶ時の目安になるので、購入前には必ず確認するようにしたいものです。今回は、鑑定書に書かれているダイヤモンドの4Cの中で、まずどのCの評価を優先的に選ぶかについて学んでみようと思います。
4Cとは何でしょう?
ダイヤモンドの4Cとは、重さを表すカラット(Carat)、透明度を評価するクラリティ(Clarity)、色の美しさを判断するカラー(Color)、輝きで技術を評価するカット(Cut)の4つのアルファベットの頭文字を取ったものです。
4Cの評価では、それぞれ基準や記号が異なりますが、もちろん評価が高いものほど希少価値が高く、価格も高くなります。では、ダイヤモンドはクラリティの評価さえよければ、カットの評価が少々悪くても良いのでしょうか?
そうではないのです。4Cで最も優先したいのは、実はカットだからなのです。
一番大切なのは、カットなのです。
ダイヤモンドには生まれつき特徴的な内包物があります。これは、ダイヤモンドが地中の奥深くで長い歳月を経て生成する間に現れたもので、内包物がないものは逆に合成だと疑っても良いでしょう。こういった内包物や傷をいかに上手くカバーするのか。それはカットの技術に委ねられます。カットがいかに上手く施されているかによって、ダイヤモンドの見た目の美しさが変わるのです。
欠陥をカバーすることに続いてもうひとつ大切なのは、光の反射量です。ダイヤモンドをカットする際には、ファセット数や各部分の長さが細かく計算されます。外からの光をより多く吸収し、内部で屈折した光を最大に分散させてキラキラと輝くようにカットされていなくてはなりません。ファセットが58面のラウンドブリリアント・カットはこの条件を満たしているので、婚約指輪のダイヤモンドに施されるのが定番となりました。
原石をどの方向からカットするか、どのシェイプにするか。その石のもつ自然の美しさを最大に引き出すカットを施すことが大変重要となるのです。
光の反射が大きければ大きいほど、ダイヤモンドのサイズも大きく見えます。輝きが増すことで、透明度や色の欠点もカバーしてしまうのです。4Cで迷ったら、必ずカット評価の良いものを優先的に選ぶ様にしましょう。
カットの評価は、プロポーションとフィニッシュで決定されます。プロポーションとは、クラウン、ガードルなど各部分の高さや深さを測定したもの。これらのバランスが理想的であるほど、評価が高くなります。フィニッシュとは仕上げのことで、ポリッシュ(研磨)とシンメトリー(対称性)の状態を評価したものです。これらを総合して、鑑定する際にはExcellent, Very Good, Good, Fair, Poorの5段階でグレード付けがされます。ダイヤモンドの評価をご覧になられる際には、まず一番最初にカットのグレードがExcellentのものを選ばれることをお勧めします。
2番目に優先するのは、カラットです。
カットのグレードがよりExcellentに近いダイヤモンドを選んだら、次に重視したいのは、カラットの項目です。石の見た目が大きいものほどカラット数が多くなりますが、実はカラットとは重さを表す単位のことなのです。
オークションなどでカラット数の多いダイヤモンドが史上最高値で落札されるなど、やはり宝石の大きさというのはその価値と値段にも大きく影響されているようです。
大きな原石が採掘されたら、その魅力が最高に生かされる様にできるだけ最大の大きさにカットするように計算されます。この際、ファセット面の長さの違いなどによって光が上手く反射されないことがあります。1カラットのダイヤモンドがふたつあったとしたら、上質なカットで光が大きく反射している石の方が、質の悪いカットの石よりも数倍美しく見えるのです。
婚約指輪で最も人気のあるサイズは、平均して0.2から0.5カラットと言われています。大きさは0.2カラットで約3.8mm、0.5カラットで約5.2mmです。
カラーの評価は大切?
ダイヤモンドは元々黄色味を帯びているものがほとんどなので、光の反射加減によって黄色の濃さが違って見えたりします。グレーディングが行われる際には、部屋の明るさの調節や熟練鑑定士の確かな目などといった、厳しい条件を揃えた上で行われています。
しかし、ダイヤモンドの持つ自然の色が綺麗に反射されるには、やはりカット技術の高さが影響されるのです。光を吸収して最大限に反射するように計算されカットされたラウンドブリリアント・カットは、きらきら輝くのではっきりとした色の判別が難しくなります。こういったことから、カラーの鑑定には非常に慎重な判断が必要となります。
カラーはアルファベットのDからZまでで評価されます。完璧に無色のものはDです。その後黄色味が増えるにつれてZへと傾いて行きます。カラーについては、やはり無色に近いDからF、又はGまでのものを選ばれることをお勧めします。
クラリティは気にしなくても良いの?
カットの部分でも述べましたが、天然のダイヤモンドには何かしらの内包物が含まれていて当たり前なのです。そのインクルージョンが大きいか、どの場所にあるかで評価に大きな差が出ます。肉眼で見えない程度の小さな内包物や、気にならない場所にあるようでしたら、身につけていても気になりません。インクルージョンがあることは天然の証でもあり、そのダイヤモンドにしかない個性でもあるのです。
予算などによって、どうしても4C全てを最高級に揃えられない場合などは、まずクラリティの評価を落としてみるようにしましょう。評価が少し下でも全体的に見た場合、カットの良さによって内包物などの欠陥が目立たない場合もあるからです。クラリティの評価基準は、傷や内包物の全くないFから始まり、VVSI、VSI、SI、Iと評価されます。Fの評価がされているダイヤモンドは、希少価値が大変高いので、市場にはめったに出回りません。VVSIは内包物がごく稀にある程度で、肉眼ではほとんど見ることが出来ません。VSIも欠点を肉眼で見つけるのは困難な程度です。SIでは10倍のルーペで観察して見つけられるものです。Iの評価になると肉眼でもはっきりと見える欠陥があるので、パッと見た目の美しさにも影響が出てしまいます。
市場に出回っているダイヤモンドは、VVSIやVSIのものが多いのですが、どうしてもクラリティの評価を落としたい場合には、SIより上のものを選ぶのが無難と言えます。
4Cを知って賢いダイヤモンド選び
ダイヤモンドの評価基準である4Cについて少しでも知っておくことで、価値のあるダイヤモンドジュエリーを賢く手に入れることが出来ます。ブライダルやファッション、プレゼントなど目的は人それぞれ違いますが、高価なダイヤモンドを購入する事に変わりはありません。
通販でダイヤモンドジュエリーを購入する場合には、主にオンライン上の写真や説明のみを手掛かりに選ぶことになります。こんな時に、鑑定書に元づいたグレーディングの結果が表示されているととても便利です。例えば、「0.5カラットでカラーがD、クラリティがVSIでカットがExcellent」と説明されていれば、これだけでそのダイヤモンドの美しさがどれほどなのか、簡単に想像できるからです。
ダイヤモンドは耐久性が強く永遠の輝きがあり、一生身につけられる宝石です。後世に代々引き継がれることがあるかも知れません。それだけに高価な買い物になるかも知れませんが、やはり将来後悔しないためにも価値のある良質のダイヤモンドを選ぶようにしたいですね。