ダイヤモンドの値段はどうやって決まるの?
ジュエリーショップのショーケースの中に並ぶダイヤモンドジュエリーは、どれもキラキラ美しく輝いて、一見して大差がないようにも見えます。しかし、値段はピンからキリまで、桁違いのものもあります。ダイヤモンドの大きさによって、値段が変わってくることはなんとなくわかりますが、ほかにどんな違いがあって値段が付けられているのか、疑問に思ったことはありませんか?どうやってダイヤモンドやダイヤモンドジュエリーの値段が決められているか、まとめました。
ダイヤモンドの定価は?
ダイヤモンドは自然の産物なので、定価はありません。もちろん、ダイヤモンドの採掘のための調査費、人件費、機材費、管理費などがコストとしてかかる、ということは素人にも想像が付きます。ではどうやって、ダイヤモンドの取引金額は決まるのでしょうか?
金やプラチナには相場があるけれど・・・
店頭に並んでいるダイヤモンドはどうやって価格を決めているのでしょうか?
金や銀、プラチナは毎日価格の変動があり、調べれば誰でもその相場を知ることができます。金や銀、プラチナの価格は、需要と供給の関係や為替の相場の影響で決まります。
ところが、ダイヤモンドをはじめとする宝石は、価格がわかりにくくなっています。金属のように重さだけでは評価できず、重さ、カラー、透明度、キズの有無などいろいろな要素が複雑に絡んでくるので、石ひとつひとつの価値が違ってくるからです。
価格は誰が決めているの?
ダイヤモンドの金額を決定づけることのひとつに、「ダイヤモンド価格リスト」というものが存在します。アメリカのある企業が発表したこのリストは、誰でも手に入るものではなく、一部の認められた企業だけが、購入することができます。そこには、主なダイヤモンドの4C(カラー、クラリティ、カット、カラット)の組み合わせが記載されており、ダイヤモンドの供給量により、取引実績、為替、などを考慮して毎週リリースされています。そのリストに書かれたダイヤモンドの価格が、実質的に「ダイヤモンドの価格」と言えるでしょう。ダイヤモンドの取引を行う業者は、「ダイヤモンド価格リスト」をもとに、商品の値段を決定しているのです。
最初の取引では相場がありますが、その後、加工して店頭に並びお客さんの手に渡るまでは、様々なルートを通ることになります。通るルートにより価格も大きく変貌します。そのため、宝石店で店頭に並びつけられている値段は、お店が独自に付けた値段であって、ダイヤモンドそのものやジュエリーに定価はない、と言えます。
ダイヤモンドの品質を決める4C(カラー、クラリティ、カット、カラット)が、価格を決める大きな要素となります。価値のあるダイヤモンドとされるものの特徴に、重量(カラット)があり、研磨(カット)の仕上がりが良く、無色(カラー)で透明度(クラリティ)が高いものとされています。最近ではファンシーカラーダイヤモンドも評価が上がってきているので、一概に無色透明のダイヤモンドが評価が高いとは言い切れなくなっています。
また、ダイヤモンドの算出のない日本ではほぼ100%を輸入に頼っているので、為替レートの変動や商品の需要によっても、ダイヤモンドの価格は変動します。
販売形態によっても違う、ダイヤモンドジュエリーの価格
ジュエリーの価格が高コストで、最も高価格なのは百貨店の宝飾品売り場です。ほかの販売形態と比べても、一番高値が付けられています。その理由は、その地域で一番高い立地コストと、売り上げコストを払い、ぜいたくな設備投資をしてスタッフを揃えなくてはならないという点にあります。
路面店のブライダル専門店は、地域一番店と言われる昔からの信用がある名の通ったお店です。ブライダル専門店でのダイヤモンドジュエリーの価格は、百貨店より若干安くなっています。
なかでも、セミオーダーが主流のブライダル専門店は、ダイヤモンドルース(裸石)と枠を組み合わせるシステム上、あまり高すぎる価格設定にできないため、路面店の中では比較的リーズナブルだと言えます。
インターネット通販では、ダイヤモンドルースを直輸入し、中間マージンを削減している分、コストを抑えることができます。
お客さんにとっては、店舗がどれだけ賃貸料や人件費、広告費などの経費をかけていようが関係ないので、品質の良い物をより安く手に入れることができれば、それがいちばん喜ばれるでしょう。
ダイヤモンドの供給が需要を上回ったら?
ダイヤモンドの採掘量は非常に少なく、1トンの岩石から取れるダイヤモンドの量は、1g以下です。ダイヤモンドは、それだけ希少価値の高い美しい石なので、古くから人々に愛され続けています。
もし仮に、ダイヤモンドの供給が需要を上回ったら、どうなるでしょうか?ダイヤモンドが市場にあふれ、ダイヤモンドの価値も値段も下がってしまいます。
その逆に、供給が非常に少なくなって値段が異常なほど高騰してしまったら、消費者の手が届かなくなり誰も買わなくなってしまいます。
こういったことが起こらないよう、ダイヤモンド販売で有名なデビアス社をはじめとした企業にダイヤモンドが集められ、供給量をコントロールしているのです。
デビアス社とは?
デビアス社は、1888年アルフレッド・バイドやロスチャイルドの支援を受けてセシル・ローズが南アフリカ共和国に設立した宝石会社です。以来ずっとダイヤモンドの供給を支配し、流通するダイヤモンドのほとんどが、デビアス社を通じて世界中に取引されています。のちに拠点をアメリカに移し、現在は小売りの第一の拠点をニューヨーク、第二の拠点をロスアンゼルスのビバリーヒルズ区に置いています。
デビアス社は「ダイヤモンドは永遠と愛の象徴」として、婚約・結婚指輪の理想であると宣伝しました。非常に成功したこのキャンペーンは、次の活動が有名です。
・ロマンス映画中の婚約指輪に、ダイヤモンドを使う
・有名人を使い、雑誌や新聞中にダイヤモンドのロマンチックなストーリーを掲載する
・ダイヤモンドを広めるためにイギリス王室にダイヤモンドを献上する
このキャンペーンは大成功し、アメリカにダイヤモンド市場を復活させました。デビアスのPR機関、N.Wアレイによって作成されたスローガン「ダイヤモンドは永遠の輝き」は、マーケティングの歴史で最も成功したスローガンです。
先に書いた「ダイヤモンド価格リスト」を発表しているのが、デビアス社です。
デビアス社が毎月発行している「ラパポート・ダイヤモンド・レポート(RAPAPORT DIAMOND REPORT)」に「ダイヤモンド価格リスト」を発表しているのです。
宝石店のダイヤモンドとジュエリーの価格の決め方
宝石店はこのラパポート・ダイヤモンド・レポートを参考に、商品の販売価格を決めています。価格はほかの要素も影響します。日本の場合は円高・円安といった為替の変動も、販売価格に影響があります。
ここまではダイヤモンドのルース(裸石)の値段のお話でした。消費者が一般的に購入するのは、ルースより製品(ジュエリー)になったものでしょう。ジュエリーの値段は「ルースの価格」「地金の価格」「ブランドの価値」で決まります。ルースと地金の価格は相場を調べることである程度わかります。いちばん根拠がわかりにくいのが「ブランドの価値」であると言えるでしょう。この点は、それぞれのお店の判断となってきます。