王室や女優などといった有名人が婚約した、という話題が持ち上がると、必ず注目を浴びるのが婚約指輪です。どのブランドで何カラット、推定価格は何千万円で…などといった憶測と同時に、婚約指輪の写真が大きく取り上げられます。セレブ達の婚約指輪は、世界にひとつしかないオーダーメイドや、希少なダイヤモンドなどである場合がほとんどです。セレブ達が身につける婚約指輪が発表された瞬間から、そのデザインや宝石の人気に火が付きます。その後は、レプリカや似たようなデザインのものが販売され、実際の婚約指輪として購入する人達も多くいるようです。
今回は、世界で最も有名で歴史上に残る、有名セレブ達のダイヤモンド婚約指輪をいくつかご紹介していきます。
エリザベス女王とエディンバラ公フィリップ
現在イギリス連邦王国の女王であるエリザベス女王。夫となるフィリップと出会ったのは、1939年。フィリップの従妹にあたるギリシャ王女の結婚式でのことでした。当時フィリップはギリシャとデンマークの王子で、イギリス王妃のエリザベスは13歳でした。出会って以来、二人は文通をして友好を深めます。
そして1946年の夏。二人がバルモラルにある家族の庭園内を散歩している途中、フィリップがエリザベスにプロポーズします。エリザベスは、両親の許可などを気にせず、その場で婚約に同意しました。その後、父であるジョージ6世から、翌年の誕生日が来て21歳になるまで、婚約の事実は伏せておくようにと告げられました。その後、1947年7月9日に正式に婚約が発表されます。そして同年の11月20日に、ロンドンにあるウエストミンスター寺院で結婚式を挙げました。式には200人の招待客が訪れ、世界中で2億人もの人々がラジオ中継を聴いたと言われています。さらに、世界各国から2500個にも渡る祝いの品が届いたそうです。
フィリップがエリザベスに贈った婚約指輪は、3カラットのブリリアントカットダイヤモンドが、8本の爪で支えられたリングでした。アームはプラチナ素材で、両サイドにもブリリアントカットダイヤモンドが4粒ずつセッティングされています。現在では、およそ10万ポンド(約1500万円)の価値があると言われています。
ちなみに、指輪にセッティングされたダイヤモンドは、フィリップの母親であるアンドリュー王妃が所有したティアラから外されたものでした。ティアラから外された他のダイヤモンドは、プラチナのブレスレットとしてリメイクされ、結婚祝いとしてエリザベスに贈られました。
オードリー・ヘプバーンとメル・ファーラー
オードリーが最初の旦那様となる俳優のメル・ファーラーと出会ったのは、1953年12月。ロンドンで開催された映画パーティでのことでした。俳優のグレゴリー・ペックが二人を紹介したそうです。この時、メルはオードリーにブロードウェイの舞台「オンディーン」に出演するよう懇願し、共演することになります。
共演後は、順調に交際を進めていた二人。メル・ファーラーがオードリーにプロポーズしたのは、1954年8月のことでした。スイスに滞在中、湖を見渡せる庭園でくつろいでいた時に結婚を申し込んだのです。後日オードリーはプラチナの腕時計を贈り、プロポーズを受け入れた事を伝えました。腕時計には、「マッド・アバウト・ザ・ボーイ(彼に夢中)」という文字が刻まれていました。ちなみに、この文字はノエル・カワードのヒット曲のタイトル。彼に恋する純粋な気持ちを綴った歌です。そして、ふたりは結婚を約束したスイスの同じ場所で1954年9月24日に結婚式を挙げました。ごく親しい家族や友人のみを招いた結婚式だったそうです。
メル・ファーラーは、婚約指輪選びを慎重に行いました。伝統的な物ではなく、トップスターであるオードリーを象徴する、アイコニックな物にしようと考えたそうです。彼が選んだのは、2つの結婚指輪とセットになった婚約指輪。オードリーが、その日のファッションや気分に合わせてコーディネートできるようにと考慮した結果だそうです。
婚約指輪として贈ったのは、トータルで1.5カラットのバゲットカットダイヤモンドがあしらわれた、エタニティリングでした。素材はホワイトゴールド。イエローゴールドとローズゴールドで作られた、2つの結婚指輪と重ねつけできるようにデザインされています。
ジャクリーン・ケネディとジョン・F・ケネディ
大学を卒業後、ワシントン・タイムズの記者として働いていたジャクリーンが、未来の夫となるジョン・F・ケネディと出会ったのは、1952年5月。新聞記者である友人のパーティに訪れていた時のことでした。こうして二人の交際が始まります。
ジョンはジャクリーンを父親に紹介。育ちも良く気品と学歴もあるジャクリーンを父親は大変気に入り、ケネディ家の嫁にふさわしいと見込みます。
1953年6月24日に、ふたりは婚約します。プロポーズなどについての詳しい裏話は公開されていません。噂では、ジョンが電話でプロポーズしたとか、ジョージタウンで食事をしている時だとか、ボストンホテルに滞在中になどといった話が囁かれています。
結婚式が行われたのは、1953年9月12日。ロードアイランドのニューポートにあるセント・メアリー教会で婚礼式が挙げれました。
婚約指輪を選ぶ際には、ジョンの父親もお手伝いをしたそうです。選ばれたのは、イエローゴールドを素材にした豪華なリング。ヴァン・クリーフ・アンド・アーペルでオーダーしたのは、2.88カラットのエメラルドカットダイヤモンドと、2.84カラットのエメラルドのふたつがセッティングされたものでした。当初はバゲットダイヤモンドがサイドにあしらわれていたそうですが、結婚式の後、これらはトータル2.12カラットもあるマーキスとラウンドカットのダイヤモンドに付け替えられました。
ジャクリーンは、エメラルドが好きなことで知られていました。二人の結婚10周年記念には、夫であるジョンから、10個のエメラルドが配された指輪を贈られています。ひとつのエメラルドに1年間という想いを込めたリングだったそうです。
グレース・ケリーとモナコ大公レーニエ
ハリウッド女優であったグレース・ケリーが、モナコ大公レーニエ3世と出会ったのは、1955年5月。カンヌ映画祭でのフォトセッションでのことでした。気が合った二人はその後も連絡を取り合い、交際を進めました。そして1955年のクリスマス休暇中に、モナコ大公がプロポーズをします。翌年1956年1月には、公式に婚約発表が行われました。
1956年4月18日から19日にかけて行われた結婚式は、「世紀の結婚」と呼ばれたほど、世界中の話題となりました。モナコ大公宮殿とモナコ大聖堂で挙げられた挙式はヨーロッパ各国で生中継されました。
モナコ大公がプロポーズした時に手渡したのは、普通の婚約指輪でした。その後、ハリウッド女優たちが大きなダイヤモンドの指輪をしている事に気付き、もっと大きなものにグレードアップしたそうです。
そうして出来上がったのが、カルティエで製作された、10.47カラットもあるエメラルドカットダイヤモンドの指輪です。アームはプラチナ素材で、両サイドにもバゲットカットダイヤモンドが配されています。
グレース・ケリーはこの婚約指輪を大切に身につけていました。やがて結婚してモナコ王妃となるために女優業を引退する決意をします。最終作となった映画「上流社会」の劇中では、この指輪をつけている姿を見ることができます。2014年に公開された映画「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」では、ニコール・キッドマンがグレース役を演じました。この映画のために、有名な婚約指輪が、モナコ王国君主の許可を得て、特別に再製作されたそうです。