ダイヤモンドカラーについて
ダイヤモンドは無色透明な物から色のあるカラーダイヤまで様々な物があります。このどちらもダイヤモンドの評価基準の中の一つであるカラーのランクづけがされていますが、その評価は詳しくはどのようなものなのでしょうか。また無色以外のカラーダイヤの逸話や豆知識についてもいくつかご紹介したいと思います。
ダイヤの色の評価とその歴史
ダイヤモンドを色ごとに評価する歴史は意外にも古く、6世紀のインドなどにもその痕跡を見ることができます。インドにはカーストと呼ばれる身分制度が存在しているのですが、当時の社会ではその階級ごとに身に付けることのできるダイヤモンドの色が決まっていたのです。
まず一番上の階級である司祭や統治者であるバラモンは巻貝の純白、ハスの花の純白、水晶の純白と呼ばれる白や無色ダイヤを持つことが許されました。
2番目の階級であるクシャトリアと呼ばれる戦士や地主の人達は、野ウサギの目の色とされる茶色のダイヤを持つことを許されました。
3番目の階級であるヴァイシャは商人や一般市民です。この人達は陰影のある黄色のダイヤのみ所有できました。
最後は最下層の身分とされていたシュードラと呼ばれる人達です。彼らは光沢のある剣という意味の色のグレーもしくは黒いダイヤのみの所有を認められていました。
このように古代からやはり無色ダイヤの価値は最も高いとされていたようですが、1980年にはオーストラリアのアーガイル鉱山が、シャンパン、コニャックなどの呼び名でブラウンダイヤを販売しブームになったこともあります。このようにダイヤモンドの色は鑑定的な価値だけでなく、個人の主観にも大いに左右されるということを知っておいた方がよいでしょう。
4Cにおいてのダイヤの評価について
ダイヤモンドにはカラット(重さ)カラー(色)カット(プロポーション)クラリティ(透明度)などの4つの評価である4Cが存在し、カラーはその内の一つです。4Cはアメリカの宝石研究機関であるGIAの評価基準に基づいており、それを元に各国の機関が4Cのあるダイヤモンドに対して鑑定書を発行します。
無色ダイヤの場合は黄色がかった色などがないほど評価が高く評価が上がります。GIAの基準では一番良い物から、D、E、F(完全に無色)G、H、I、J(無色)、K、L、M(わずかな黄色)、N、Z(薄い黄色、黄色)となっています。このように一般的に無色ダイヤを評価する場合、黄色は価値を下げますが、非常に黄色が濃い物の場合、それは天然のカラーダイヤと位置づけられ希少な物となります。
カラーダイヤの色の基準は上からファンシービビッド、ファンシーインテンス、ファンシーディープ、ファンシーダーク、ファンシー、ファンシーライト、ライト、ベリーライト、フェイントとなり、色が濃ければ濃いほど価値が高くなります。
カラーダイヤの希少性とその逸話
カラーダイヤにはイエロー、ピンク、オレンジ、レッド、パープル、バイオレット、ブルー、グリーン、ブラウン、ブラック、グレーなど様々な色があります。これらは天然の色の物に限りファンシーダイヤモンドと位置づけられます。
色の中でも特にレッドは一番希少であり、世界中で年間に数十個しか採掘されないとされるピンクの天然ダイヤよりも価値がある色です。他にも紫のバイオレットダイヤなども希少ですが、色の種類に限らず、その濃さ、大きさ、内包物のなさなどもカラーダイヤの価値を決めるようです。
有名なカラーダイヤ
①ムサイフレッド
ムサイフレッドは世界で最大級のレッドダイヤモンドとされています。大きさ自体は5、11カラットとそれほど大きいような気はしませんが、GIAの認定の赤ダイヤの中では最も大きい物とされています。ムサイフレッドは1990年代にブラジルの農夫によって発見されたそうです。発見時は13、9カラットほどの大きさでした。その後、ニューヨークになるウィリアム・ゴールドバーグダイヤモンド社の手によって三角形のトリリアンカットに変身し、現在の5、11カラットとなりました。その形が盾に似ているのでRedshield(赤い盾)とも呼ばれます。ムサイエフレッドという名前は2011年にイギリスのムサイエフ社の所有となったことに由来しています。落札価格は800万ドル日本円にして約9億8000万円、1カラットの値段は100万ドル(約1億円)とされる世界屈指の高額カラーダイヤです。
②ドレスデングリーン
ドレスデングリーン、もしくはドレスデングリーンダイヤモンドなどと呼ばれる緑色の美しいダイヤモンドです。大きさは41カラットある天然カラーのダイヤモンドになります。
産出地は、はっきりとしていないものの、インドのコーラル鉱山、もしくはブラジルなどとも言われています。このグリーンのダイヤモンドに関する記述で確認されている最も古いものは1722年のロンドンの新聞にあるとされています。濃い緑の美しい色もさることながらドレスデングリーンは内部に窒素などの成分がほとんど含まれておらず、透明かつ状態も無傷に近いことから希少であるとされています。2000年にはアメリカのハリウィストン社がスミソニアン博物館所蔵の青いダイヤホープと共にドレスデンを並べる企画展を開きました。この二つのダイヤは発見された地域が同じではという意見もあり、兄弟石ではないかとも一部では言われています。
③消えた幻のイエローダイヤ、フロレンティン
カラーダイヤの中には確かに存在していた記録があるのにいつのまにか行方をくらましてしまった石もあります。その中の一つがイエローのカラーダイヤであるフロレンティンです。この石については伝説によれば1477年に戦死したシャルル勇猛王という人が身に付けており、それを拾った農民が黄色いガラスだと勘違いして司祭に当時の単位である1フロリンで売ったとされています。その後、メディチ家のトスカナ大公の手に渡ったとされ、それを見たダバニエルという人物はこのイエローダイヤのことを139カラットあり、良い形にカットされ、色はシトロンのようだとしています。その後、メディチ家が滅ぶと
フロレンティンは様々な人の手を渡り歩き、いつの間にか行方をくらまし幻のダイヤとなってしまいました。今もそのありかは分かっていません。
④アーガイルバイオレット
オーストラリアのアーガイル鉱山は希少な紫のダイヤモンドが採掘されることで有名です。2015年にこの鉱山で9、17カラットのカラーダイヤモンドの原石が発掘されました。発掘当時は傷、穴、ヒビなどがありましたが、アーガイル鉱山の腕利きの研磨職人により28、3カラットのオーバル型の美しいバイオレッドダイヤに変身しました。このダイヤは鉱山の名前をとってアーガイルバイオレットと名付けられました。このダイヤはGIAにもディープグレイッシュブルーイッシュバイオレットという非常に高い色の評価をつけられています。
まとめ
いかがでしたか?ダイヤモンドのカラー評価は無色の場合とファンシーカラーのダイヤの時のものがあるようですね。結婚指輪などでは無色がやはり人気ですが、一風変わったマリッジリングが欲しい人はカラーダイヤにしてもおしゃれかもしれません。一般的な評価だけでなく自分の好みでもお気に入りのダイヤを選びましょう。