鑑定書や鑑別書と耳にはするものの、違いがよく分からないし、必要なものなのかも分からなくてぼんやりしているという方も多いのではないでしょうか?
この2つは似ているようですが、内容を見ると実は全く違う内容の物です。
今回は鑑定書・鑑別書の違いから必要かどうかを交えてお話ししたいと思います。
鑑定書・鑑別書の違いって何?
鑑別書:鑑別書はダイヤモンドに限らず、ルビー・サファイア・エメラルド全ての石につけられます。
どんな石でなんと言う宝石なのかや、人工的な処理が施されているかも記載されています。
鑑別書の一番の目的は宝石の種類と天然の石かどうかの証明ですので、本物である場合は天然○○と認むと表記されます。
その他には、宝石の硬度や比重・屈折率・偏光性・多色性・蛍光性・分光特性・サイズ・重量・カットなどが記載されています。
全ての石に付いているかと言うとそうではなく、付いているものと付いていないものがあります。
鑑別書が付いていた方がいいのか、と言うとそうとも言えるし、そうとも言えない部分があります。
鑑別書があるとその宝石がどんな石か、天然のものかが分かり専門家が鑑別した安心感がありますが、鑑別書を依頼すると5000円以上かかってしまいます。
例えば、全く同じ状態の同じ石が2個あり片方が鑑別書が付いていなく、片方は鑑別書が付いていた場合、鑑別書が付いているだけでその宝石は5000円以上の価格差が出てしまいます。
と言うことは安心を付けて販売するくらいですから、市場に出回る宝石で鑑別書が付いているものは、それだけ高価で高品質な石が多いとも言えます。
財産としても所持したいと言うのであれば、鑑別書が付いたものだと買取されやすくなりますので、そう言った点で言えば鑑別書は必要であると言えます。
そうではなく出来るだけコストパフォーマンスを高く安価で手にしたいのであれば、鑑別書なしの宝石を選ぶと良いでしょう。
鑑定書:グレーディングレポートとも言い、天然ダイヤモンドの品質の評価が記載されています。
鑑定書は鑑別書とは違い、ダイヤモンド以外の宝石には付きませんので鑑定書付きのサファイアなどはあり得ません。
4Cと呼ばれる評価で高品質な一粒ダイヤモンドの価格評価で必要不可欠なものです。
4Cとは…
カラット Carat
カラー Color
クラリティ Clarity
カット Cut
の頭文字のCを取って4Cと言います。
あくまでも1つのダイヤモンドにいつの鑑定書が付けられるので、メレのようなたくさんダイヤモンドが付いたジュエリーには鑑定書は付きません。
そう言ったデザインで鑑定書が付いているものはダイヤモンドがルースの状態で付けられ、その後ジュエリーになったものが多いです。
鑑定書も鑑別書と同じく発行するのに約1万円ほどかかります。
また、鑑定書も鑑別書と同じ理由で鑑定書が付くダイヤモンドと付かないダイヤモンドがあります。
一般からも依頼が出来、鑑定機関が評価を行います。
鑑定機関って何?
鑑定書の評価次第でダイヤモンドの価値が決まるため、間違いがあってはなりません。
その為どこの販売店も信用のおける鑑定機関へ鑑定を依頼します。
その中でも特に有名なのは2社でGIAと中央宝石研究所です。
GIA : 米国宝石学会は、世界最大で最も認められている非営利の宝石学研究・教育機関です。
GIAがInternational Diamond Grading System(TM)(GIAダイヤモンドグレーディングシステム)の基準を開発しました。
GIAの開発したダイヤモンドグレーディングレポートは世界基準として認識されダイヤモンド価値を評価するのに普及されています。
CGL : 中央宝石研究所は、日本の宝石鑑定判定基準の統一化を行う有限責任中間法人 AGL : 宝石鑑別団体協議会の会員です。
国内の宝石市場におけるダイヤモンドの取扱量と鑑定実績が最も多いので、信頼の厚い鑑定機関とされています。
4Cって何?
カラット Carat :カラット=ダイヤモンドの大きさと間違われますが、実は大きさではなく重さを表し、1カラット=0,2gです。
カラー Color :ダイヤモンドの透明度を表す、カラー。
マスターストーンと呼ばれる基準石を元にダイヤモンドの色を判別します。
無色に近いほど評価が高く、逆に黄色みがかっていると評価が下がります。
D・E・Fは無色透明
G・H・I・Jはほぼ無色
K・L・Mはわずかな黄色
N-Rは非常に薄い黄色
S-Zは薄い黄色
とされています。
クラリティ Clarity:透明度を表すクラリティ。
傷やインクルージョン(内包物)の数や位置によって判定されます。
クラリティは11種類のグレードに分かれて評価されます。
フローレス(FL)
インターナリーフローレス(IF)
ベリーベリースライトリー(VVS-1、VVS-2)
ベリースライトリー(VS-1、VS-2)
スライトリーインクルーテッド(SI-1、SI-2)
インパーフェクション(I-1、I-2、I-3)
上位ほど評価が高く、グレードが低くなるほど曇り、輝きが薄れていきます。
カット Cut:唯一人の手が入る、技術が評価されるグレード。
全体的な形のバランスと研磨の仕上げの美しさの評価でラウンドブリリアントカットの場合にのみ評価がされます。
プロポーション(形)とフィニッシュ(仕上げ)が評価の対象で総合評価は5種類のグレードに分けられます。
EXCELLENT(EX)
VERY GOOD(VG)
GOOD(G)
FAIR(F)
POOR(P)
上に行くほど高評価でブランドによっては
素晴らしいカットであれば、カラーが鮮やかに見えたりインクルージョンが目立たなくなるなど、腕の良いカッターは各ダイヤモンドに合うカットを施すと言われています。
鑑定書・鑑別書は必ず必要?
エンゲージリングなどの特別な意味を持つジュエリーであれば、特別な評価を受けたダイヤモンドを使用したいと思われる方も多いでしょうから、鑑定書が付いたダイヤモンドが良いでしょう。
ですが、普段身につけるデイリーユースなダイヤモンドジュエリーであれば、鑑定書が付くだけで1万円ほど高額となるので必ず鑑定書が必要なのかと言われるとそうではないと思います。
小さなダイヤモンドの場合、小さくなればなるほど肉眼でダイヤモンドの状態を確認するのは困難になっていきます。
小さくなれば価格も安価になっていきますので、低価格なダイヤモンドジュエリーであれば鑑定書は不必要と言っても良いでしょう。
逆に資産にする、高品質なダイヤモンドを求めているなどであれば鑑定書付きのダイヤモンドを選ぶのが懸命です。
鑑別書も鑑定書と同じと考えて貰って良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
鑑定書や鑑別書と耳にはしてもなんのことかよく分かっていないことも多いです。
付いていれば確実に天然の石なんだと分かっていただくだけでも違うと思います。
余談ですが、鑑定書や鑑別書の他に保証書と言うものが付くこともあります。
これは宝石に対する評価ではなく、販売店が商品に対してアフターケアなどの保証を行うと示すための書類です。
例えばリングのサイズ変更を初回は無料であったり、石取れの場合の修理は無料など、どのような保証内容でどんなサービスが受けられるのかを確認しておくと何かの時に役に立ちます。
より良いジュエリーとの出会いのお手伝いができれば嬉しいです。