クラリティ評価の下がる要因として言われるインクルージョンですが、目に見えてしまうインクルージョンがダイヤモンドの見た目を損ない価格が落ちてしまうのは否定できません。
インクルージョンの種類によっては破損しやすくなりますが、これも全てのインクルージョンではなくごく一部のインクルージョンに限ります。
インクルージョンとはダイヤモンドにとって人の指紋のようなもので、各々のダイヤモンドによって違うダイヤモンドの個性であると言えます。
インクルージョンのあるダイヤモンド=消費者として購入を避けるべきダイヤモンドでは決してないのです。
今回はそんなインクルージョンの種類やインクルージョンの性質などを交えてお話しします。
インクルージョンがあるからダイヤモンドを識別出来る
クラリティ特徴はジュエリーとして身につけた場合、ダイヤモンドの外観や耐久性には影響を及ぼしていません。
また、不規則な形のダイヤモンド原石をカットする際、カッティング方向を決めるのに大いに役立ちます。
インクルージョンの中には結晶の成長線に沿ってあるものもあり、それを手掛かりにカットが施せるため非対称なダイヤモンド原石も対称のダイヤモンド原石のように自信を持っカットが施せるのです。
また、インクルージョンのおかげでダイヤモンドと類似した石を判別することが出来ます。
ダイヤモンドのインクルージョンは独特なので、経験によりダイヤモンドのインクルージョンが外観で分かるようになります。
その為、インクルージョンが全くない、目に見えないと「本当に天然のダイヤモンドなのか」と疑問を持ちます。
このようにある石が天然のダイヤモンドであるとインクルージョンによって判別できるのです。
いくらダイヤモンドにとって必要とされるインクルージョンと言われても気になるものは気になるから、インクルージョンのないダイヤモンドが欲しいと言う方もいらっしゃるかと思います。
その際には鑑定書付きのダイヤモンドであれば、インクルージョンの詳しい状態が記載されています。
知識があるなしに関わらず、どのような状態のダイヤモンドで、どのような品質であるかを確認して購入出来るのが鑑定書付きダイヤモンドの良さなのです。
良いインクルージョンと避けたほうがいいインクルージョン
一口にインクルージョンといっても気にしなくても良いインクルージョンと出来れば避けたほうがいいインクルージョンがあります。
よく耳にする傷と言われるものと内包物に分けられますが、内包物とはその名の通り内包された異物で気体や液体、または他の鉱物でそのほとんどが結晶化する際に内包して成長したダイヤモンドです。
これを結晶インクルージョンとも呼び一部のマニアにとっては収集に値するほどの人気があります。
大きく成長したダイヤモンドを包有したダイヤモンドは、子持ちダイヤモンドとも呼ばれ、これもまた愛されています。
内包される結晶にはダイヤモンドだけでなく、ガーネット、オリビン、ダイオプサイド、スピネル、グラファイト、ヘマタイトなどもあります。
存在感のあるものであれば一部のマニアから支持されますが、ダイヤモンドとしての輝きとして考えると小さなものであれば影響しないので、インクルージョンの中でも内包物はさほど神経質にならなくても良いと思います。
避けた方がいいインクルージョンとはいわゆる傷と言われるインクルージョンです。
ピットやニック、クラッチなどのブレミッシュであれば表面上のキズで小さいものが多く良いのですが、フェザーやクラックは内部の亀裂が多く、後々強い衝撃により広がりその結果最悪の場合はダイヤモンドが割れてしまう恐れもあります。
クラックのあるダイヤモンドは内包物の多くあるダイヤモンドに比べると同じクラリティでも輝きも強く見栄えのいいダイヤモンドが多いです。
余談ですが、通販やチラシの目玉商品として使われるダイヤモンドはこの、クラックのあるダイヤモンドの場合が多いです。
下記は避けて無難なインクルージョンの種類と状態です。
・フェザー
ダイヤモンドの内部に生じるクリベージとフラクチャーの2種類の割れのこと。
クリベージは結晶方向に平行な割れ。
フラクチャーは、特定の割れやすい方向(へき開方向)以外の割れのこと。
・クラック
石が成長し、結晶化する時に大きな圧力がかかったなどで発生する亀裂や割れ目、筋目のこと。
大きなものだとそれが原因でダイヤモンドそのものが強い衝撃などで割れてしまうことがある。
とは言うものの、フェザーやクラックの入った全てのダイヤモンドが避けるべきものではありません。
例えば地金の爪付近に小さなフェザーがあるなど場所によって、サイズによっては広がる心配のないフェザーやクラックもあります。
その辺りは各々のダイヤモンドによりますので、フェザーやクラックの入ったダイヤモンドはサイズの大きいダイヤモンドがお買い得に手に入る状態とも捉えられるのです。
素人では例えルーペで拡大してみたところでわからないと言う場合は、鑑定書付きのダイヤモンドで探すのをお勧めします。
鑑定する際には、必ずインクルージョンの状態を確認しています。
インクルージョンのあるなしはクラリティ評価に関わりますので、クラリティがVS-2以上のダイヤモンドを選ぶと「10倍の倍率でインクルージョンがなんとか確認可能だが、ごく僅かな程度」の状態ですので安心です。
レーザードリルホールって何?
内包物が多いと輝きが損なわれてしまうダイヤモンド。
ならばいっそ取り除いてしまおうとレーザー処理で取り除き残った穴がレーザードリルホールです。
ダイヤモンドの表面から見ると美しく見えるように、キューレット側からレーザーで内包物めがけて肉眼では見えないほどの小さな穴を開けます。
穴が残るものの、今まで光の反射を邪魔していた内包物が取り除かれたわけですから、輝きがよくなります。
最近ではレーザーで穴を開けるのではなく、
ダイヤモンドの表面にパルスレーザーといわれるレーザー照射を行い、穴ではなくひび割れを起こさせ、その後酸を用いて漂白を施します。
どちらのレーザー処理もレーザードリルホールとして鑑定書に記載されます。
このレーザー処理による穴は肉眼ではほぼ見受けられませんが、専用ルーペで確認すると容易に見つかります。
またダイヤモンドの表面から見るのではなく横から見ると小さな筋が綺麗の入っているのを確認出来ます。
いかがでしたでしょうか?
婚約指輪や結婚指輪を選ぶ際には、多くの方は鑑定書付きの出来るだけハイクオリティなダイヤモンドを選ばれるかと思います。
ですが、ファッション性の高い比較的手の届きやすいダイヤモンドジュエリーにあしらわれるダイヤモンドは、婚約指輪や結婚指輪ほどのクオリティとまではなかなか難しいです。
それでも出来るだけコストパフォーマンスの良い上に質の良いもの、サイズの大きいものを見つけたいのが心情ですよね。
最後にまとめると
- インクルージョンがあるダイヤモンド=粗悪なものではない
- インクルージョンの中には避けた方がよい状態がある
- レーザードリルホールはインクルージョンの中でも人の手が入った技術である
ダイヤモンドといえば殆どの人が知らない人はいないほどに有名ですが、実は奥の深い魅惑的な宝石です。
この機会に是非、ダイヤモンドの魅力に魅了されていただきたいです。