最高級の宝石として、遠い昔から愛され続けているダイヤモンド。いつの時代にも女性達にとっての憧れの存在であり、最も手に入れてみたいと言われる宝石です。こんなに素敵なダイヤモンドについて、私達はどれ程の知識を持っているのでしょうか。ダイヤモンドには古い歴史があり、数々の物語や伝説も誕生しています。こちらでは、ダイヤモンドについて知っておきたい、ちょっとした豆知識や逸話をお伝えしてしたいと思います。
ダイヤモンドという名前の由来
ダイヤモンドという名前は、ギリシャ語のadamasという言葉が由来と言われています。「何事にも屈しない」「征服し難い」という意味は、世界で一番硬い物質にはぴったりの表現ではないでしょうか。ちなみに、ダイヤモンドのモース硬度は10。これは天然物質の中でも最高の硬さです。炭素原子から出来ており、それぞれの原子が他の4つの原子としっかり繋がって密接した、厳格な構造を作っています。こうした原子構造によって硬く出来上がったダイヤモンドだからこそ、最強の意味を持つ名前が付けられたのでしょう。
採掘される場所
ダイヤモンドは、地中の奥深くで作られます。マグマが冷えて固まると火成岩になります。キンバ―ライトと呼ばれる、この岩の中にダイヤモンドが含まれているのです。
最初にダイヤモンドが発見されたのは、インドでした。この頃は、河などに流れ出た原石を見つける方法で、人の手で採掘されていました。インドでの採掘量が減少した頃ブラジルで原石が発見され、採掘が盛んになります。後に南アフリカで鉱山が発見され、デビアス社が採掘を始めました。現在の主な産地は南アフリカですが、他にも、コンゴ、ボツワナ、ロシア、オーストラリア、カナダなどを始めとする、およそ20か国で採掘されています。
これまで発掘されたダイヤモンドの原石は、地中200kmにも及ぶ深さで結晶されたものであると想定されています。最古のものでは、30億年ほども前に結晶されたと言われる原石が発見されています。
シンドバッドが迷い込んだ、ダイヤモンドの谷
ダイヤモンドの採取は、物語の中でも伝えられています。これは、千夜一夜物語(アラビアンナイト)に出てくる、シンドバッドのお話しの一筋です。
ある日、ルフという大きな鳥に運ばれたシンドバッドが降り立ったのは、高い山の谷間でした。困って歩いているシンドバッドの前に現れたのは、ダイヤモンドが地面一面に敷き詰められ、まぶしく輝いている場所でした。しかし、その場所をガードしているのは、何匹もの大蛇たちです。困り果てたシンドバッドの前に落ちて来たのは、ダイヤモンド商人たちがダイヤモンドを取るために投げた羊の肉でした。
ダイヤモンドが付いた羊の肉を鷲が拾い上げるのを待ち、鷲が山の上に来たところで商人たちが鷲を驚かせます。その途端、驚いた鷲が思わず落とした肉からダイヤモンドを商人が持ち去るというものです。
シンドバッドはダイヤモンドを沢山拾い集めポケットに入れた後、肉に体を縛り付けました。シンドバッドの付いた肉を鷲が拾い上げ、山の上に運びますが、案の定商人たちに驚かされて肉を落としました。
無事に谷から脱出する事が出来たシンドバッドは、商人たちにポケットに入れたダイヤモンドを分けてやりました。そのお礼にと用意された船で、シンドバッドは家路にたどり着いたのでした。
シンドバッドの冒険は逸話ですが、この様な方法は実際に使われていたとも言われています。
ナポレオンのリージェントダイヤモンド
遠い昔から何事にも屈しない、不屈の宝石として言い伝えられてきたダイヤモンドは、フランスのナポレオン皇帝をも魅了しました。征服を意味するダイヤモンドの強いパワーが、戦いを勝利へと導いてくれると強く信じられていたからです。美しい光を放ち高価なダイヤモンドは贅沢品であり、権力を主張するものでもありました。
ナポレオン皇帝の戴冠式で剣に装着されていたのが、有名なリージェントダイヤモンドでした。リージェントダイヤモンドは、1701年にインドで発見されたダイヤモンドです。発見された原石は410カラットという大きさでした。後に140.50カラットにカットされ、フランス王室が所有していましたが、現在はルーブル美術館に展示されています。
ダイヤモンドに込められたパワー
誰も征服できない強烈な力を発揮するとして、古い時代から王者を魅了し、皇帝ナポレオンも信じていた、ダイヤモンドに秘められたパワー。その魔力とは、一体どのようなものなのでしょうか。
ダイヤモンドは、持つ人にパワーをもたらす石として知られています。持つ人の精神を強くするので、不安な気持ちを追い払い、どんな場面でも頑張って勝ち抜ける強い気持ちを持てるようになります。
外部の光を吸収する力が強いので、悪いエネルギーなどは吸い取ってしまいます。内部からは美しい輝きを発するので、新しいエネルギーを解き放ち、ポジティブな運気を発してくれます。心と身体がパワーアップするだけではなく、人との出会いや金運の上昇も引き寄せます。何に関しても強力なパワーを与えてくれますが、パワーの使い方を間違えてどん欲になり過ぎると、逆に不幸になってしまう事もあるようです。
伝説のホープダイヤモンド
有名なホープダイヤモンドをご存知でしょうか。呪いのダイヤモンドと言われ、伝説として語り継がれている、濃い青色をしたダイヤモンドです。
9世紀頃にインドで発見されたと言われるブルー・ダイヤモンドは、インドの寺院の女神の彫像の目に付けられていました。しかし、ある日盗難に遭ってしまいます。
数年後、フランス人商人タヴェルニエがブルー・ダイヤモンドを購入し、その後ルイ14世の手に渡ります。後に青いダイヤモンドはヨーロッパやアメリカで数々の所有者の手に渡ることになります。所有者は王族や大富豪などでしたが、彼等には必ずと言って良いほど予期せぬ悲劇が訪れ、不幸な事故や病に見舞われたのでした。
45.52カラットという大きさの青い輝きの魔力に魅せられた人達は、ホープダイヤモンドが持つあまりにも強いパワーに負けてしまったのかも知れませんね。
1910年にホープダイヤモンドはパリの宝石商カルティエが購入します。翌年には社交界の名士マクリーンが購入。彼の死後、ニューヨークの宝石商ハリー・ウィンストンの手に渡ります。現在はスミソニアン博物館に贈呈され、一般公開されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、ダイヤモンドにまつわるお話しをご紹介いたしました。この世で最初にインドで発見された頃から、ダイヤモンドには不思議なパワーがあると信じられていました。当時のインドでは、ダイヤモンドは神に捧げる神聖な宝石とされていた、という話もあります。その後はフランスなどで宝飾品として装飾される様になり、ヨーロッパ各国の王侯貴族を魅了します。現代では婚約・結婚指輪の定番として世界中から求められる、最も人気の高い宝石として認められています。
はるか地中の奥深くで炭素原子が固く結びつき、高温と高圧に耐えながら何億年も前に作られた宝石。その奥に秘められたパワーを上手く使うと運気が上昇し、人生における最強の味方になってくれます。逆にそのパワーを過信し過ぎてしまうと、思わぬ不幸に陥らせるという力も持ち合わせています。
ダイヤモンドは、その美しさがゆえに、はるか遠い昔から多くの物語や逸話として語られてきました。不思議な魔力を語った物語がその美しさが一層増し、ダイヤモンドをより魅力的な宝石として輝かせているようですね。