ダイヤモンドのインクルージョンについて
ダイヤモンドは自然が生み出した産物ですから、結晶の内部がクリアな状態であることは稀です。大抵はインクルージョンと呼ばれる内包物や傷が大なり小なり存在しています。今回はそんなインクルージョン(内包物)などについての知識をまとめてみました。
インクルージョンとは
インクルージョンは冒頭でも説明しましたが、ダイヤモンドの内部などに含まれる内包物のことです。これは自然が生み出したダイヤモンドならではの現象でもあり、地球の内部のマントルで石が形成される際に生じるものです。これは石の個性とも言える物ですが、ダイヤモンドは石の品質などを評価する4Cにおいては透明である方がより価値が高いとされているため、このインクルージョンが少なく内部が透明な方がより良いダイヤであるとされています。このインクルージョンの評価は4Cのクラリティ(透明度)というものに影響します。
また、ダイヤモンドのクラリティにはプレミッシュというダイヤモンドの傷や欠けも含まれており、つまりは表面も内部も美しい物が4C評価では価値が高くなるのです。ちなみにインクルージョンは肉眼で見ても見えないことも多く、10倍の顕微鏡を使用してはじめて見つかるということもあります。表面にも内部も無傷に近い状態の物は非常に珍しく、4C評価においてはフローレスダイヤ(FL)とされ、非常に価値の高い物であるとされています。
インクルージョンの種類
インクルージョンやプレミッシュはその傷の入り方や内包物の種類などによってそれぞれ呼び方が違うようです。いくつか主要な物をまとめてみました。
- フェザー
- カーボン、クラウド
- ピンポイント
- インクルーテッドクリスタル
- ノット
- インターナルグレイニング
- ニードル
- トウイ二ングウィスプ
フェザーとはダイヤモンドの内部に生じる「クリベージ」と「フラクチャー」という2種類の傷を表した言い方です。クリベージはダイヤモンドの結晶方向に平行に割れが見られます。一方、フラクチャーは石目の方向以外に見られる割れのことを表しています。フェザーも個性の一つですが4C評価ではこれらが目立たないダイヤの方が価値も高くなります。
カーボンとはダイヤの内部に見られる黒い点のような内包物で、クラウドは白っぽい濁りのような物です。これらは石の端にあれば見えにくく気にならないこともありますが、中央にあると見た目でも内包物が目立ってしまうことになります。ちなみにカラーダイヤの中でブラックダイヤモンドという物がありますが、これは黒いカーボンが全体に表われてこのような色になっている石です。ダイヤは元々炭素ですから生成の過程でこのような色になることもあるのです。
極小の白い結晶です。10倍の倍率で小さな点として発見することができる内包物のことを言います。これは一個だけという場合もあれば、複数確認できる場合もあります。
ダイヤモンドの内部に生成される過程で他の鉱石などが含まれることを言います。よく見られるのは透明や黒い結晶などですが、時にはオリビン(緑色の宝石ペリドッドのこと)の他にも赤色系のガーネットなどが含まれていることもあります。この内包されている他の宝石は4Cにおいては、ない方が評価は高いかもしれませんが、ダイヤモンドの個性としてはとても面白く魅力的なものです。4C評価にこだわらなければ逆に個性的とも言えるかもしれません。インクルージョンについてもそれほど大きくなければ耐久性も損なわれません。
研磨面まで達している内包結晶のことです。
ダイヤモンドの内部に形成された結晶の成長跡のことです。無色目立たずクラリティに影響はありませんが、白や色のある物、反射する物は評価に影響します。
これはダイヤが生成される過程でできた細長い棒状の内包結晶のことです。
このダイヤのインクルージョンは育成途中の結晶が歪むことで生じた曇りのことです。
この他にも内包物や傷には大きな穴や深いくぼみのある物、欠けなど様々な状態の物が存在します。穴や傷は研磨をしてなくすこともできますが、そうすることによってダイヤモンドの大きさは小さくなってしまいます。
インクルージョン(内包物)のあるダイヤモンドのパワーストーン的意味
石は種類により様々なエネルギーやパワーをもたらしてくれると信じられていますが、これはインクルージョンダイヤモンドにも当てはまります。通常のダイヤのパワーストーン的な意味は不屈など、その硬さからイメージされるものなどがありますが、インクルージョンダイヤの場合、その内包物を含む姿から、もっと受容的な強さがあるとされているようです。つまり周囲の人があれこれ自分に言ってもそれを受け入れた上でなおかつ進む強固な意志を与えてくれるパワーストーンであるとされているのです。今ある現実や問題をありのままに受け入れてそれでも前に進んでいきたいという強い決意を持った人や、もしくはそのようになることを望んでいるという人にこのダイヤは力をかしてくれるかもしれません。
このように宝石の個性はパワーストーンなどの考え方においても活かされているのが面白いところです。これは他の宝石においてもそうですが、例えば植物の花がバラも美しいけれど、たんぽぽなどの野花にもまた違った美しさがあるようにインクルージョンダイヤモンドも自然が生み出した宝石の一つの個性の形であると捉えることができるのです。
インクルージョンダイヤの持つパワーストーン的な意味を以下にまとめました
完全、強靭、無敗、不動、存在感、全てを内包する、自己の確立、
支配、コンプレックスからの脱却
インクルージョンのあるダイヤにも個性的な魅力がある
内包物のない透明感は4C評価においてはダイヤモンドの美しさを決める上で重要なものですが、これらの評価に捉われずあえてインクルージョンのあるダイヤをチョイスしてみるのもオシャレかもしれません。割れなど品質上問題がなければ、針状や水泡のような物が見えたり、珍しい物ではピンクダイヤの中に小さな結晶が形成されていたり、グリーンダイオプサイト、ガーネットなどが内部に見られる物もあります。ダイヤモンドは透明感が必要という人にはおすすめできませんが、このようなちょっとしたあらが好き、つまり個性的であると感じられる人には面白い宝石なのではないでしょうか。
また、これは私見ではありますが、透明感と輝きが強いダイヤモンドはどこか高貴過ぎる気がして身に付けにくいと思う時があるのですが、インクルージョンのあるダイヤモンドはそれよりも近づきやすい印象を受けます。インクルージョンダイヤは内部の内包物などが特徴的で個性的ですが、結婚式のダイヤモンドなどは一生に一度の買い物になることも多いので、できれば透明感のある品質の高い物を選んだ方がいいかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?4C評価においてはやはりインクルージョンのないダイヤモンドの方が高い評価を受けるようですね。確かに結婚指輪などのマリッジリングはこのような表面も内部も美しいダイヤを選ぶべきかもしれません。しかしながら普段使いであればインクルージョンのあるダイヤもなかなか味があって素敵です。シーンに合わせて使用すれば問題なく身につけられるのではないでしょうか。
また、インクルージョンダイヤを購入する際には耐久性や割れなどの問題に注意してください。