カットについて
ダイヤモンドのカットで一番有名なのは4C評価の対象にもなっているラウンドブリリアンカットと呼ばれる物です。しかしながら、この他にもダイヤモンドには様々な魅力的なカットの形が存在しているのです。今回はラウンドブリリアンカットの4C評価以外にもその他のカットの魅力やダイヤのカットの歴史などについてもまとめてみました。
カットの4C評価について
4Cとはダイヤモンドのカラット(重さ)、クラリティ(透明度)、カラー(色)、カット(プロポーション)に対してされる評価です。この4C評価はアメリカのGIAという研究機関が決めていて、それを元に鑑定書が発行されるしくみになっています。GIAの4C評価の一つであるカットについては、ラウンドブリリアンカットという形のみに適用される物となっています。
GIAでは良質なカットの物から、EXCELLENT(最上級)verygood(理想的)good(良好)Fair(やや劣る)poor(劣る)という風に評価されています。
カットの歴史と変遷
このように近年ではマリッジリングに使用されることが多く、4C評価があることから、ラウンドブリリアンカットのみに注目が集まりがちですが、ダイヤのカットにはこれ以外の物もたくさんあり長い歴史の中から作り出されてきたものなのです。
ダイヤモンドのカットの歴史は非常に古くその歴史は紀元前にすでに行われていました。例えば古代のインドではこの頃から硬くて独特の輝きのあるダイヤモンドは特別な石とされていて、人々の採掘の対象となっていました。彼らも高度な研磨技術を持っていましたが、現在のカット面の多くする方法ではなく、表面が丸くなるようなカボションカットのような形状を好みました。現在に近い面のあるダイヤに研磨されるのはもっとずっと後の時代のこととなります。
その後、かなりの時代を経てから14世紀末のパリの街で多くの研磨職人が働き、15世紀半ばにはテーブルカット、ローゼンツカットなどの初期のカットが生まれました。16世紀にはローズカットと呼ばれるカットが生まれました。
17世紀になるとフランスの宮廷の夜会などではロウソクの灯りによってより輝くカットが求められるようになり上記のローズカットが主流となりました。このカットは底が平らで中央に高さをつけながら24の三角形の面が組み合わされた物で、バラのつぼみに形が似ているのでそう呼ばれていました。
その後、より職人達はダイヤを輝かせようと努力し、マザランカット、58の研磨面を持つオールドマインカット、オールドヨーロピアンカットなど、ブリリアンカットの原型となる形を誕生させました。そして1919年にはついにマルセル、トルコフスキーという人によって光学的知識に基づいた理想的なカットのプロポーションというものが発表されたのです。これが現在のブリリアンカットのベースとなっています。
ラウンド以外のブリリアンカットとは
4C評価の対象となるのは丸型をしたラウンドブリリアンカットのみですが、実はこのブリリアンカットという言葉は別名アイデアルカットと呼ばれることもある研磨方法の総称です。特徴は全て58面体(場合によって57面)で進入した光が内部で反射し上部で輝くといったよりダイヤモンドが美しく見えるカット方法です。よってラウンドブリリアン以外のオーバル、ペア、ハート、マーキーズなどのカットも鑑定書こそありませんが、ブリリアンカットということになります。ちなみにエメラルドカットやプリンセスカットは正式にはステップカットやミックスカットという研磨法になります。では以下でそれぞれのカットの魅力を見ていきたいと思います。
ラウンドブリリアンカット・・・上方が円形のカット。ダイヤの中でも最もオーソドックスとされる。58面体から放たれるその強い輝きからエンゲージリング(婚約指輪)などに使用されることが非常に多い。普遍的な人気を誇るカットである。
ペアシェイプ・・ペアとは洋ナシという意味になる。他にもその形からディアドロップ(女神の涙)と呼ばれることもあるロマンチックなカット。雰囲気としては女性らしさ、エレガントさ、優雅さなどを演出してくれるカット。女優のエリザベステーラーの持っていた有名なダイヤはこのカットである。
ハートシェイプ・・名前通りのハート型の可愛らしい形のカット。ダイヤは非常に硬いため、綺麗なハートの形に研磨するのは相当な熟練の技が必要である。イメージとしてはやはり幸福、愛など恋愛や結婚を思わせるカットである。キラキラと輝くのも特徴の一つ、欧米では女性のとても人気にあるカットの一つである。
オーバルカット・・・楕円形のような形をしたカット。オーバルとは卵型のこと。優しく上品、落ち着きがある、クラシカルなどのイメージのあるカットである。エリザベス女王の王冠を飾るのもこのオーバルカットである。また、フランス王妃マリーアントワネットのダイヤもこのオーバル型だったという。
マーキースカット・・・ラクビーボール、もしくはアーモンドなどとも形容されるように両端が尖っているカット方法。マーキーズとはフランス語で「侯爵」という意味になる。そのいわれは18世紀にルイ15世がポンパドール夫人という女性に侯爵という称号を与え、それに敬意を表した彼女がこの形のダイヤにこう名付けたと言われている。エレガントかつクールなイメージ。
エメラルドカット・・・破損防止のために角を削られて8角形になったとされる。正式にはステップカットというブリリアンカットとは違う研磨方法。アールデコなどの装飾法が人気の時代には流行となった。他の研磨方法のカット石と違い、面の輝きはそれほど強くないものの、テーブル面が広く、クラリティ(透明度)が良ければ透き通るような美しさのカットとなる。他のカットにはない落ち着つきや、神秘的な雰囲気が魅力である。元女優で後のモナコ王妃となるグレイス・ケリーがこのカットの婚約指輪をつけていた。
プリンセスカット・・正式にはミックスカットと呼ばれるカットである。ミックスカットとはブリリアンカットとステップカットの両方の良さを兼ね備えているという形である。
プリンセスカットは1960年代にイギリスのAネイジーという人物によって送り出された。元は紅柱石のために考案された方法だったが、人気が急上昇し、GIAも今ではラウンドブリリアンカットに匹敵するほどの評価基準を設けている。宝石の輝きも引き立てるカットであることだけでなく、原石をカットする部分が少なくてすむこともこのカットの利点である。
このようにブリリアンカットなどの比較的よく知られているカットの他にも、現在ではカットの技術の向上などにより実に様々なカットが存在するようになりました。例えば花の形や星、変わった物では動物の形にカットされたダイヤモンドなどもあります。
まとめ
いかがでしたか?ラウンドブリリアンカットはマリッジリングとして最もポピュラーであり、4Cの評価もされるカット方法ですが、たとえ4C評価はなくても魅力的なカットは他にたくさんあるようです。
4Cも気になるところですが、やはり一番は自分が気に入ったダイヤを選ぶことなので、4C評価にあまり捉われすぎずにダイヤモンドのカットを選んでみてはいかがでしょうか。