ダイヤモンドダストと一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?冬の季節に見られるといわれる自然現象の一つで、北海道の内陸部で観測されることが多いです。ダイヤモンドダストは、細氷(さいひょう)とも呼ばれます。いったいどのような自然現象なのでしょうか?
今回はダイヤモンドダストについてお話ししていきます。
ダイヤモンドダストが発生する仕組み
ダイヤモンドダストが発生するのは大気中の水蒸気が冷やされ(昇華)、それが小さな結晶となります。マイナス15℃以下になると、雲粒が氷の粒(氷晶)に変わりゆっくりと降ってくる状態です。雪のようにも見えますが、太陽の光に照らされるとキラキラと光るのが特徴で、この現象をダイヤモンドダストと言います。ダイヤモンドダストが発生時、天気としては晴れですが、ダイヤモンドダストは雪に分類される為に観測記録は雪となります。
余談となりますが、地上ではめったにお目にかかれない珍しい現象のダイヤモンドダスト。実は上空の雲の中には氷晶は無数にあります。雲の中ではダイヤモンドダストだらけということですね。まわりの雲粒から蒸発した水蒸気を貰って氷晶が大きくなると、やがて雪の結晶となります。雪の結晶が集まると雪のかけら(雪片)やアラレになり、地上に落ちてくるのが雪、途中でとけてしまったものが雨となるのです。
ダイヤモンドダストはどんな時にあらわれる?
ダイヤモンドダストは、とにかく低い気温の時にあらわれます。低い気温とは氷点下10度以下です。そして空気が澄んでいて風がなく、晴れている状態であることも必要です。また、早朝で湿度が高いことも重要です。この条件は、1~2月に発生率が高いといわれています。
ダイヤモンドダストはどこで見られる?
気温の低いときに観測される現象ですから、氷点下10度以下となる地域でなければなりません。日本では主に北海道、名寄・旭川・十勝あたりの内陸部で観測されます。
また、有名なのは美瑛町でダイヤモンドダストが名物ともいわれています。
ダイヤモンドダストが見られる場所
日本では主に北海道ですが、特にダイヤモンドダストが見られる絶景の場所をご紹介します。
- 北海道幌加内町
- 北海道十勝地方
- 北海道弟子屈町
- 北海道美瑛町
- 北海道旭川アイスパビリオン
北海道幌加内町の母子里は、日本最寒地と言われ、1978年2月17日に氷点下41.2℃を記録したほどの寒地です。幌加内町の母子里の近辺ではダイヤモンドダストが何度も観測されており、ダイヤモンドダストが見れる場所として観光の目玉にしているほどです。国内最低気温を記録した2月17日には毎年「天使のささやきを聴く集い」う、冬の夜を体感するイベントが開かれています。「天使のささやき」とは-20℃以下になると、空中にできるダイヤモンドダストを指しています。
十勝というとヨーグルトが有名な北海道十勝地方ですが、寒さのピークを迎える1、2月には氷点下20℃になることもある寒地。晴れの天気で冷え込んだ日に朝の景色に目をやると、ダイヤモンドダストにお目にかかることができます。冬の季節、十勝川の川岸ではカモや白鳥が停泊しているので運よくダイヤモンドダストに遭遇したら、貴重な雪景色を堪能できるかもしれません。
摩周湖・屈斜路湖が近くにある北海道弟子屈町。2月にはダイヤモンドダストをイメージした川湯温泉街のイルミネーションが名物です。気象状況が合えば本物のダイヤモンドダストを見ることも出来る地域なので、イルミネーションとダイヤモンドダストの、貴重なコラボレーションをお目にかかれるかもしれません。
北海道美瑛町のダイヤモンドダストは川沿い、山間部で真冬の朝に見られ、ダイヤモンドダストが発生しやすい気温と湿度のバランスが適している地域といわれています。青い池やパッチワークの丘を始めとしたフォトジェニックな風景も多く、写真家の方にはダイヤモンドダストが撮影できるとして有名な町です。美瑛町ではダイヤモンドダストが発生しているときにのみ見られるとても珍しい現象、サンピラー現象を見ることも期待できます。
自然のダイヤモンドダストではありませんが、人口のダイヤモンドダストが見られる施設です。氷の鍾乳洞や大氷柱群、美しい幻想的な氷の世界を堪能出来るアイスパビリオン。館内はマイナス20度に保たれていて、日本最低記録温度マイナス41度が体験出来るコーナーや、クリオネの展示もあります。
ダイヤモンドダストは撮影できる?
幻想的で美しいダイヤモンドダストに遭遇したならSNSで自慢したい、せっかくの思い出に撮影して記録に残したいですよね。ダイヤモンドダストはどうすれば撮影できるかを調べてみました。
一般的には望遠レンズが使うとよいそうです。300mmの望遠レンズを使うとぼかした光で撮影できるようですが、一眼レフカメラでないと撮影は難しそうです。七色に光るダイヤモンドダストを撮影したいのであれば、太陽の光に反射させた状態を捉えなければなりませんので、光の角度に注意しなければなりません。太陽の光から斜めに撮影したり、木の陰にレンズが隠れるようにして撮影するのも良いです。逆光で撮ってしまうとフレアといわれる太陽の光の筋が写ってしまうので注意が必要です。
ダイヤモンドダストに反射して見えるサンピラー現象
ダイヤモンドダストが大規模に発生しているときに見られるサンピラー現象とは、ダイヤモンドダストに太陽光が反射して柱状に見える現象です。朝日や夕焼けとともに見られることが多いです。ダイヤモンドダストだけでも幻想的なのに、その上柱状の太陽光が現れたら、厳かな気持ちになりますね。北海道の美瑛町はダイヤモンドダストのみでなく、このサンピラー現象も多く見られています。サンピラー現象は美瑛町だけでなく、富山や秋田でも観測記録があります。
ダイヤモンドダストを実験で再現
ダイヤモンドダストをもっと手軽に見てみたい!
ならばいっそのこと、身近なものを使ってダイヤモンドダストを再現してしまいましょう。
準備するもの
- 缶
- エアキャップ(プチプチ)
- 冷凍庫で-20℃以下に缶を冷やす。
- 缶を室内にしばらく置く。
- その中でエアキャップをつぶす。
- 光を当てると、ダイヤモンドダストが観測できる。
→缶の中に入った空気が冷やされて雲(白いもや)ができる。
→勢い良く飛び出した空気の温度が急激に下がって、過冷却状態だった雲粒が一瞬で氷晶化。
実験で再現したダイヤモンドダストは、天然のものよりも粒が薄いので虹色に輝いて見えます。
解説すると、氷点下まで冷やした缶の中に発生した雲(白いもや)に含まれる水分が、0度以下でも凍らない過冷却と呼ばれる状態になります。その中でエアキャップをつぶすとそれがきっかけとなり、過冷却状態の水分が凍り始めます。科学の実験などで、コップの中の水をほかの容器に移すと一瞬で凍る現象と同じで、ショックを与えることで凍りだす現象ですね。小さな氷の結晶が光を浴びて輝いた現象がダイヤモンドダストなのです。
まとめ
寒いほどに美しくなるダイヤモンドダスト。細かい七色の光が降ってくる景色は、きっと幻想的で美しいに違いありません。自然が生む宝石、ダイヤモンドダストを一度は目にして見たいものですね。