ダイヤモンドを知る

宝石鑑定士という仕事

宝石鑑定士という仕事

「宝石バイヤーになって世界中を駆け巡り、宝石の買い付けをしたい」「ダイヤモンドの鑑定をしたい」「ジュエリーの専門家になって宝石店で働きたい」という人におすすめなのが、宝石鑑定士の資格取得です。ダイヤンドを鑑定する「宝石鑑定士」とは、どういう仕事をするのでしょうか。「どういう勉強をして資格を取るのか」「どういうところに就職するか」など、今回は「宝石鑑定士」にスポットを当てて、まとめてみました。

宝石鑑定士とは?

ダイヤモンドの鑑別や階級付けをする人のことを「宝石鑑定士」と呼びます。宝石鑑定士は国家資格ではなく、民間の機関から資格が与えられるものです。民間資格で様々な機関が認定しているため、内容や基準が少しずつ違いますが、なかには国際的に通用するような資格もあります。ダイヤモンド以外の石を鑑定する人は「宝石鑑別士」と呼び、「宝石鑑定士」はダイヤモンドを鑑定する人に限定されます。

ダイヤモンドを鑑定し、グレーディングレポートを作成する「宝石鑑定士」のほか、宝石鑑定士の資格を持った人の中には、宝石店でお客様に合うジュエリーをアドバイスしたり、海外にダイヤモンドを買い付けに行く宝石バイヤーもいます。

鑑定士の資格を取得するための学校「GIA」について

宝石を学ぶための学校は国内外にたくさんありますが、宝石鑑定士の資格を取得できる学校は日本国内にはありません。世界に通用する鑑定士になるための学校は限られています。世界的に有名で「宝石鑑定の権威」とも言われている機関は、GIA(Gemological Institute of America/米国宝石学会)です。難易度も評価も高く、資格を取得するまでが大変ですが、世界各国で通用する資格です。GIAのGG(Graduate Gemologist)プログラムを卒業すると「GIA GG」の称号が与えられます。

GIAでは鑑定士育成のほかに鑑定も行っていて、GIAで発行されたグレーディングレポート(鑑定書)は世界で最も信頼度が高いとされています。このような機関が認定しているGGの資格は、宝石の知識やノウハウ、鑑別技術など、宝石にまつわるあらゆることを熟知して与えられる称号です。こうした宝石鑑定士の資格を取得するには、それなりの費用と長い期間を要します。

GG資格取得への道のり

① 留学する
GIAのキャンパスは7ヶ所(ニューヨーク、カールスバッド、ロンドン、バンコク、ムンバイ、香港、台北)あります。キャンパスに通学するには、海外に渡り、英語に慣れていない人は、まず語学学校に数か月通いながら現地の生活に慣れることから始めることが多いようです。GIAの学生は膨大な量の教科書を読み、宿題や試験に追われ、一日のほとんどを顕微鏡を覗く毎日を過ごしているそうです。

入学資格は18歳以上で、高卒同等以上の学力がある者です。全日制は26週(6か月、780時間)かけて理論と実技を学び、すべてのカリキュラムを終了し、最終試験に合格するとGIAよりGGのディプロマ(卒業証書)が授与さられます。最終試験に規定回数以内に合格できなかった場合、再度通信制で学ぶことができます。

② 通信教育で学ぶ
メディアを駆使したeラーニングで、通学生と同じプログラムで学ぶことができます。いつでもどこでも学習が可能で、課題を提出したり、試験を受けることもオンラインでできます。電子メールや電話で通信教育のインストラクターが指導やアドバイスを行い、専門知識を提供しています。

日本で学ぶには?

国内では、GIAから委託された教育機関「GIA JAPAN」が全日制と通信教育を40年以上続けてきたのですが、残念ながら2015年12月に閉校となってしまいました。日本で学ぶには、通信教育を受けることになります。

宝石鑑定士の就職は?

GG(Graduate Gemologist)とは、日本語にすると「宝石学修了者」です。一般的には「宝石鑑定士」と呼ばれますが、仕事はその枠には収まりきらず、就職先は宝石販売店、百貨店の宝石売り場、ブライダル専門店、輸入代理店、ジュエリーメーカー、宝石鑑定機関などがあります。

どの業界もそうなのでしょうが、大変厳しくなっているのが昨今の宝石業界の就職です。宝石鑑定士の資格を持っているからと言って、楽に就職が決まるようなことはなく、なかなか希望する職種の会社に決まらないこともあります。念願かなって就職しても、最初から鑑定ができるわけではありません。誰もがそうであるように、雑用から始まり日々の経験の積み重ねが大切になってきます。

宝石鑑定士の資格を生かした職業

宝石鑑定士

宝石鑑定機関に就職し、ダイヤモンドの鑑定を行うのが仕事です。日本国内で有名な宝石鑑定機関は、「中央宝石研究所」「AGTジェムラボラトリー」などです。宝石鑑定士の仕事は大きく分けて二つ、「鑑別」と「グレーディング」があります。宝石が本物であるか偽物であるかを鑑別します。鑑別はさまざまな検査を行い、可能性をひとつひとつ排除していく消去法で宝石を特定していきます。次に判定されるのが屈折率、比重、分光です。これは顕微鏡や屈折率測定器などを用いて判定します。それらを踏まえたうえで、ダイヤモンドの4C(カラー、カット、クラリティ、カラット)を階級付けし、グレーディングレポート(鑑定書)の作成をします。

鑑定機関で働く宝石鑑定士は「人間よりも宝石が好き」というほどの宝石マニアも少なくないようです。四六時中ダイヤモンドと向き合い、データを取り続けることが苦にならない人が向いています。

宝石バイヤー

宝石バイヤーの仕事は、ジュエリーショップやジュエリーメーカーに就職し、海外にダイヤモンドなどの宝石の買い付けに行きます。近年では、キュービックジルコニアなどの人口石も多く流通していますので、宝石バイヤーは天然石であるかどうかを見極める鑑定力が必要とされます。海外での買い付けになるので、英語力や交渉力も必要不可欠です。

宝石バイヤーになるための資格は特にありませんが、宝石鑑定士の資格を持っていると有利です。最初からひとりで宝石の買い付けに行けるほど甘い世界ではありません。新規採用で宝石バイヤーを目指す人は、宝石の販売や営業から始め、宝石の勉強をしておくことが大切です。日々の積み重ねが大事なので、バイヤーになるまではかなりの時間がかかります。就職してから必要になり、宝石鑑定士を目指す人も少なくありません。

ジュエリーアドバイザー

いわゆる宝石店の店員で、お客様に宝石に関する説明や、どういう石が婚約指輪に適しているかなどをアドバイスするのが仕事です。宝石鑑定士の資格を持っていると、販売や営業にも有利です。宝石の知識や接客のノウハウのほか、マーケティングやディスプレイなどの知識も必要な仕事です。

ジュエリー卸メーカー勤務

企業内で、ダイヤモンド卸業者と交渉しながら取引をするのにも宝石鑑定士の資格を持っていると有利です。ルーペでダイヤモンドを見ながら、その評価や値段が妥当であるかを見極めるのに、熟練した経験が必要になります。また宝石小売店を取引先とする営業マンも、宝石鑑定士の資格を持っていると役立つでしょう。

GGの資格は世界で通用する?

GGの資格は日本国内はもちろんのこと、世界各国でも高い認知度を有しています。GIAは宝石の集荷する国際都市に拠点を置いているので、世界中の多くのジュエラー(宝石にかかわる仕事をする人)がGIAの教育を受けています。GIAの共通のルールの上でビジネスができるというメリットがあります。世界中に4万人ほど、日本では3千人ほどのGIA卒業生が活躍しています。

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