ダイヤモンドの原石は、どんな場所でも見つかるというわけではありません。とはいえ、人々が必死になって探したから見つかったというものでもありませんでした。最初は、河川で遊んでいた子供たちが、何かの拍子にふと水の中で光るものを見つけ、手に取ってみたものが、実はダイヤモンドだった・・・という偶然のストーリーがほとんどです。ダイヤモンドの原石は、ある日突然見つかり、やがてその場所は採掘場として発展していきました。今回は、世界中で最も規模が大きな10か所の鉱山を、採掘されている国別に紹介していきます。
世界一の産出国はロシア
現在、世界で最も多くダイヤモンドが産出されているのは、ロシアです。幾つかの多くの鉱山があり、透明度が高くて質の良いものが採掘されています。採掘や取引は、ロシア国内で最大のダイヤモンド企業である、アルロサ社が行っています。鉱山のほとんどはシベリアのサハ共和国にあり、世界的に有名となりました。こちらに、ロシア国内にある代表的な鉱山を紹介します。
• ジュビリー
サハ共和国にある鉱山で、世界最大の大きさを誇ります。1986年から採掘が始まりました。ジュビリー鉱山には、約1億5千300万カラットものダイヤモンドの原石が埋まっているだろうと推定されています。2017年には、全部で920万カラットほどの原石が採掘されると予想されています。露天掘り作業が進められており、今後720mの深さまで続けられる予定です。
• ウダチナヤ
同じくサハ共和国にある鉱山で、世界で2番目の大きさです。1955年に発見され、ダイヤモンド鉱山の町として発展しました。露天掘りの坑道となるウダチナヤ・パイプは、ロシアで最大級のものです。2013年の1月の時点で、ウダチナヤ鉱山に埋まっている原石は、全部で1億5千2百万カラット程あるだろうと推定されています。鉱山はアルロサ社が所有していますが、ウダチナヤ鉱山の採掘部門が全ての作業を行っています。2015年には露天掘りが終了し、以降は地下坑道で採掘が行われる予定です。
• ミールヌイ(又はミール)
こちらもサハ共和国にあり、世界で3番目の大きさの鉱山です。アルロサ社の本社があり、ダイヤモンド取り引きの中心となっている街です。ミール・パイプが発見されたのは、ウダチナヤ・パイプが発見される2日前の事でした。1957年から採掘作業が始められていますが、2013年1月の時点で、鉱山には全部で1億4千百万カラットもの原石が埋まっているだろうと推定されています。1957年から行われていた露天掘りは2001年に停止され、現在では地下で鉱山の操業が行われています。
• グリブ
ロシアの北部地方のアルハンゲリスク州にある鉱山です。正式な名称はウラジーミル・グリブ記念ダイヤモンド鉱山といいます。その規模は、ロシア国内では4番目、世界では7番目という大きさ。鉱山からは9850万カラットが産出されると予想され、年間の総産出量は、およそ4百万カラットと推定されています。所有するのは、アルハンゲリスク・ゲオルドブイチャ社(略称AGD)です。2017年には、181.68カラットという大きさのダイヤモンドが発見され、これまでヨーロッパで採掘された中で最大のものという記録を生み出しました。
• ボツオビンスカヤ
ロシアのサハ共和国西部にある都市ニュルバから、北西200㎞程の場所にある、世界で10番目に大きい鉱山です。アルロサ社の一部であるニュブラ鉱山会社が所有しています。同社は、2000年からボツオビンスカヤ・パイプから3㎞程離れた距離にある、ニュブリンスカヤ・パイプでの採掘も行っています。ボツオビンスカヤ・パイプの露天掘り作業は、2012年から開始されており、2015年からは、本格的な産出作業が開始されています。
オーストラリア
• アーガイル
西オーストラリアのパースから約2500㎞程の場所にある鉱山で、規模は世界で最大級と言われています。2012年の時点で、この鉱山には1億4千万カラット程に値するダイヤモンドが眠っていると推測されています。アーガイル鉱山は1979年10月に発見され、1983年から本格的に採掘が始まりました。世界でもトップクラスの鉱山会社リオ・ティントが所有。毎年、平均して約2千万カラットを産出しており、世界最大の産出量となっています。ピンクダイヤモンドを産出する事で知られており、世界中の90%以上はアーガイルで採掘されています。
アフリカ・アンゴラ共和国
• カトカ
アンゴラ共和国は、アフリカ南西部にある共和制国家です。この土地にあるカトカ鉱山は、ルワンダ共和国の東から約840㎞の場所にあり、サウリモ市から近い場所に位置する、世界中で5番目に大きい規模の鉱山です。原石が発見されたのは1965年以降。その後、鉱山の開発が進められ、1998年より本格的に採掘が始められました。鉱山を所有するカトカ鉱山会社は、アンゴラダイヤモンド公社Endiama、ロシアのアルロサ鉱山公社、ブラジル建設会社のOdebrecht、イスラエル系企業のDaumontyら4社の出資によって創業されました。2012年の総産出量は650万カラットもあり、アンゴラ共和国全体の産出量70%にも及ぶ量となりました。
南アフリカ
• ヴェネツィア
リンポポ州の都市ムシナから約80㎞の場所にある鉱山です。その規模は、世界で6番目の大きさであり、南アフリカの中では最大規模の鉱山です。1980年代初期にキンバライトが発見されており、2012年には1億2百万カラットの埋蔵量があると推測されています。デビアス社が所有し、1992年に生産作業が開始されています。露天掘りの鉱山の堀削は現在も進行中であり、2021年まで行われる予定だそうです。その後は地下坑道での採掘が計画されています。
• ジュワネング
ボツワナ共和国の中南部にある、世界で8番目に大きい鉱山です。1967年に発見され、1982年から採掘作業が始められました。ジュワネング鉱山からは、世界で最高品質のダイヤモンドが産出される事で有名であり、2012年12月の時点で、埋蔵量は8830万カラットと推定されています。ボツワナ共和国の輸出額のおよそ80%はダイヤモンド。まさにダイヤモンドによって国家が成り立っているのです。デビアス社とボツワナ共和国のパートナシップによるデブスワナ(Debswana)社が鉱山を所有しています。露天掘りは2017年には625mの深さに到達する予定です。2010年からは「カット8」と名付けられたプロジェクトを進行させており、ジュワネング鉱山を少なくとも2025年まで操業させる意気込みです。
• オラパ
ボツワナ共和国のボデティ準地区にあるオラパという街にある鉱山です。その大きさは、世界で9番目という規模です。1971年から採掘作業が行われていますが、2012年12月の時点で、埋蔵量は8570万カラットと推定。2006年には1730万カラットもの産出という記録を打ち出しています。オラパとは、ツワナ族の言語で「ライオンの安息地」という意味を持ちます。こちらの鉱山もデブスワナ社が所有しています。ボツワナにあるデブスワナ社所有の内で、最も古くから稼働している鉱山です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、世界で最も大きな10か所のダイヤモンド鉱山をご紹介しました。読んで頂いた通り、規模の大きい鉱山は、ロシアのサハ共和国地方に集中しているという事が解りました。ちなみに、ダイヤモンドの産出量は、何と言ってもロシアが第一位で、世界の30%ほどの生産量です。ロシアではほとんどのダイヤモンドがサハ共和国で産出されています。世界生産量の2位は、ジュワネング鉱山とオラパ鉱山のある、ボツワナ共和国だそうです。