ブライダルリングとして最も人気の高い貴金属、プラチナ。永遠に褪せることのない、高貴で潔白な白い輝き。強靭な金属として知られるプラチナには、とても古い歴史があります。プラチナとは一体どんな金属?他の素材とどう違うの?有名なデザインやお手入れの仕方は?などなど、知っておきたい事は沢山あります。ブライダルリングとしても定番人気、貴金属の王様プラチナジュエリーについて、詳しくお伝えしていきます。
耐久性に優れた貴重な金属
プラチナが最初に発見されたのは、紀元前1200年前後の古代エジプトと言われています。1735年には南米コロンビアで発見され、大切に扱われていました。その後長い空間がありましたが、やがてヨーロッパへと運び込まれ、18世紀以降ついにその輝きと耐久性が認められる事になるのです。
現在でも採掘される場所と量は限られており、主な産出国は南アフリカとロシアです。指輪ひとつを作るための量3グラムを得るには、1トンもの原鉱石が必要という程の希少性なのです。耐久性があり熱に強いので、変質や変色する事がありません。そのために、加工には相当の時間と熟練技術を必要とします。プラチナを細く伸ばして繊細なデザインを製作することも可能です。他の金属よりも時間をかけて研磨する事で、上品な艶を出すことができるのです。
プラチナの純度
ジュエリーの地金には素材と純度の刻印が刻まれています。指輪の裏側などに小さく刻まれたものが、本物を表す証明です。プラチナを表すのは「pt」という刻印。この表示の後に続いて刻まれた数字が、地金の純度です。
日本政府から品位証明が受けられるのは、純度が85%以上のものです。国内では、850、900、950、1000の4つの品位が認められています。表示されているのは、純プラチナの1000を基準に純度のパーセンテージを表すものです。例えば純度が85%なら「pt850」と表示され、純度が高いほど高価になります。高い純度があるからこそ、プラチナが完璧な白い光沢を放ち、その色を永遠に保つことが出来るのです。
他の金属との違い
ホワイトゴールドやシルバーはプラチナと同系色。白い光沢をもち、見た目ではほとんど違いは判りません。では、その中身は…?
まず、物質としてプラチナは強度と耐久力があり、色や質が変わる事はありません。ホワイトゴールドは金が75%で、残りの25%にパラジウムやシルバーを合成して白い光沢を出したものです。プラチナより比重は軽めで柔らかな手触りです。シルバーは酸や熱などに弱い性質なので時間と共に質や色に変化が現れ、黒ずみが目立つようになります。
プラチナは生まれながらにして重量感があり、白い光沢を持っています。そして、その質と色は褪せることなく永遠に保たれ続けるのです。
婚約・結婚指輪に選ぶ理由
永遠を誓う婚約・結婚指輪は、一生身に着ける宝物です。日常の生活に使え、耐久性のある素材を選ぶのがベストと言えるでしょう。
プラチナジュエリーは酸に強く錆びることや変色するなどといった心配のない、永遠のアイテム。限りない愛を誓い、これから毎日一緒に生活して行くお二人のためにふさわしい素材なのです。紙よりも薄く延ばせる事ができるので、ソリティア・リングに代表される立て爪型の指輪では、ダイヤモンドを確実に支える爪の役目をしっかりと果たします。白い光沢を持つプラチナは、ダイヤモンドの白い輝きを一層引き立てるので相性は抜群です。
ウェディングを表現する白と永遠。日本ではブライダルリングとして一番人気のある定番の素材なのです。
ベル・エポック時代に流行
フランスでは1890年頃からベル・エポックという文化が流行していました。「良き時代」を意味するフランス語で、パリの消費文化が繁栄し華やかな文化が咲き誇った時代。第一次世界大戦が始まる頃まで続きました。そしてこの時期、プラチナが最高の貴金属としてヨーロッパで一世を風靡したのです。これまで主流だったゴールドに比べ、熱する温度の高さや加工の難しさからジュエリーに用いる事は難しいとされていたプラチナを、本格的に導入する事に成功したのです。
パリ中に新風を吹き込こみ、ジュエリー界に革命を起こしたというスタイルは、ガーランド様式でした。宝石商ルイ・カルティエが創作したのが始まりで、カルティエ社は数多くの名作を残してきました。そのデザインとは、プラチナとダイヤモンドを使用し、レースの様に見せる大変デリケートなもの。素材を曲線や輪状にしたり、花や葉などのモチーフがまるで揺れているかの様に見えるという繊細なものでした。
こういった優雅なデザインを実現できるのも、プラチナならではの特性です。糸のように薄く延びる上に、粘りのある性質を持つからこそ出来る技なのです。まるで、レースの上で宝石だけが連なっているかのように見えるジュエリーは、プラチナが持つしなやかさと強靭さを表現しています。
アールデコ様式
ヨーロッパでは1920年頃から40年頃までの間、アールデコ様式という芸術が大流行しました。モダンで洗練されたデザインは、建築を始め室内装飾からファッション、ジュエリー全てに影響を与えています。
アールデコ様式は、1925年のパリ万国博覧会で人気の火が付いたムーブメントです。直線的や幾何学的なラインを生かしたデザインで、ジュエリーの素材には主にプラチナが使用されていました。平面と直線を強調したグラフィカルなデザインに白い光沢のプラチナを使用する事で、ジュエリーにより一層スタイリッシュな印象を与えています。色のコントラストも特徴で、サファイアやルビー、オニキスなどを用い、プラチナやダイヤモンドとの明確な色の違いを見せていました。
アールデコ様式のジュエリーは繊細なディテールにこだわったものが多く、耐久性がある上、糸のような細さに伸ばせるプラチナは最適な素材でした。ダイヤモンドを爪でしっかり固定し、直線で連ねるなどした幾何学的なデザインのジュエリーには最適な地金だったのです。
プラチナのお手入れの仕方
耐久性があり熱や汗、酸にも強いので、お手入れは比較的簡単です。指につけたままプールや温泉に入っても、変色・変質の心配はありません。
日常身に着けている上で、指輪の裏側やデザインの細かい部分などに付いた汚れが気になってきた場合は、台所洗剤で落とすことができます。洗剤をぬるま湯で薄め、指輪を浸しながら柔らかい歯ブラシや筆などで磨きます。すすいだ後は布で拭いて仕上げるだけです。
普段のお手入れとしては、柔らかい布で拭くだけで艶を出すことができます。プラチナ専用のジュエリークリーナーも市販されているので、利用してみるのも良いでしょう。洗浄液につけて、後は水洗いするだけなので簡単です。ただ、宝石がセッティングされている場合は注意が必要です。ダイヤモンドは洗剤で洗っても構いませんが、その他の宝石は洗剤や水で変質するものもあります。お手入れが必要な場合は、専門店などに相談されることをお勧めします。
まとめ
プラチナは純度が高く耐久性があり、光沢が永遠に保てる理想的な金属です。毎日身に着けても変色や変質することが無いので、安心して日常生活を共にできます。しなやかな光沢があるので、曲線を描いたフォルムのジュエリーなどでは、優雅でエレガントな輝きを見せます。
プラチナは日頃のお手入れも簡単で、しかも強靭です。それだけに他の金属よりは高価になりますが、一生使えるジュエリーとして必ず選びたい素材ですね。