宝石には見た目の美しさ以外に様々な楽しみ方があります。その中の一つが誕生石などの宝石の持つ意味を意識して身につける方法です。そこで今回は誕生石の歴史や意味、特徴、楽しみ方などをまとめました。
誕生石の歴史
現在日本においてよく見聞きする誕生石が正式に決められたのは1912年のアメリカのようですが、その歴史自体はもっと古いものではないかと言われています。誕生石は一番古くはチグリス・ユーフラテス河などで知られるメソポタミア地方において誕生したのではという説があります。当時、この地方ではバビロニア帝国という国が栄えていましたが、この王国は天文学、現在の占星術が進んでいました。その占星術の12星座と宝石を結び付けて考えたのが始まりではないかと言われるのです。以下に12星座のそれぞれの宝石を記載してみました。
- 水瓶座→ガーネット
- 魚座→アメジスト
- 牡羊座→ブラッドストーン
- 牡牛座→サファイア
- 双子座→メノウ
- 蟹座→エメラルド
- 獅子座→オニキス
- 乙女座→カーネリアン
- 天秤座→ペリドッド
- 蠍座→アクアマリン
- 射手座→トパーズ
- 山羊座→ルビー
このように12星座とも深く関連のある誕生石ですが、その後は旧約聖書の出エジプト記において高僧の胸飾りの12種類の宝石として描かれたり、聖徒エルサレムの城壁に飾られていたとされる12個の宝石として描かれたりもしたようです。その後、18世紀頃、ポーランドの宝石商にその概念が考案され、先に書いたようなアメリカでの誕生石の制定に繋がりました。非常に古い起源を持ち、とても神秘的なのが誕生石というものなのです。
誕生石の意味
誕生石は生まれた月の宝石を身につけると幸運になれると言われています。誕生月ごとの宝石の特徴と意味は以下の通りです。
1月:ガーネット→別名柘榴(ざくろ)石その名の通り深い色合いの暗赤色が有名です。他にも緑、ピンク、オレンジ、紫、黄色なども存在します。意味は真実、友愛、忠実などです。
2月:アメシスト→紫水晶で知られる石、同じ紫でも濃紫、薄紫、赤紫など微妙な違いがあります。ギリシャ神話では月の女神の女官、美少女アメシストの名前とされていて、彼女は酒の神バッカスに命を奪われそうなところを女神の判断で紫水晶に変えられました。意味は誠実、心の平和など
3月:アクアマリン、ブラッドストーン、サンゴ→アクアマリンは澄んだ水のような水色の石、ブラッドストーンはイエスキリストの血から生まれたと言われます。サンゴは日本独自に制定された誕生石、意味はそれぞれアクアマリンが沈着、勇敢、ブラッドストーンが勇気、救済、サンゴが長寿、幸福などです。
4月:ダイヤモンド→古くはギリシャ語でアダマス(征服されざる石)と呼ばれ兵士を守護しました。無色透明が有名ですが、ブラウンなどの他にも希少な色として青、オレンジ、ピンク、緑などがあります。意味は清純、無垢、不屈などです。
5月:エメラルド、ヒスイ→エメラルドは美の女神ヴィーナスの石、クレオパトラも愛した石とされます。深緑色の魅惑的な石。エメラルドは幸福の他、恋愛成就の意味もあります。ヒスイは長寿、健康、徳などの意味です。
6月:ムーンストーン、真珠→ムーンストーンはその名の通り月に似た月長石と呼ばれています。ブルー、オレンジ、ピンク、珍しいものではレインボーなどもあります。意味は知性、物思いなど。一方、真珠は日本でもおなじみの石、色は白の他にもクリーム、ピンク、金、銀、黒などがあります。意味は健康、長寿の他にも純粋無垢などです。
7月:ルビー→赤いまるで炎のような石。青いサファイアとは対照的ですが、実は色違いの同じ鉱石ということはあまり知られていません。ルビーは基準を満たした赤色の物のみに用いられる名称で、それ以外の色は青も含めてサファイアという扱いになります。意味は熱情、仁愛、威厳など
8月:ペリドット、サードニクス→ペリドットは初夏の木洩れ日を思わせる黄緑色の石、聖徒エルサレムの12の石の一つとされます。意味は幸福、なぐさめ、癒しの石としても知られます。サードニクスは赤縞メノウとも呼ばれ、赤、オレンジ、赤褐色、白などがあります。意味は神聖、成功、幸せな結婚など。カメオという装飾品が彫られることで知られています。
9月:サファイア→ルビーと鉱石としては同じ種類の青い美しい石。青が最もよく知られていますが、緑、紫、黄、ピンクなども存在します。意味は慈愛、誠実、徳望など宗教とも古くから関係の深い神聖な石
10月:オパール、トルマリン→オパールはいくつもの石が虹のように混ざり合った不思議な石、これは遊色と呼ばれるオパール特有の特徴です。意味は安楽で、クリエイティブさを引き出す石とも言われます。一方、トルマリンは色の雰囲気があめ玉を思わせる非常に可愛らしい石。ピンクと緑の二色の色合いがスイカにそっくりなウォーターメロントルマリンなどは特に可愛らしい。意味は寛大、思慮深さなどです。
11月:→トパーズ、シトリン→トパーズとシトリンも同じく黄水晶などと呼ばれていますが本当は別の宝石です。トパーズの方は黄色の物の場合どちらかというと琥珀のような深い黄色をしていますが、シトリンの方は語源のシトロン(フランス語でレモン)に近い色をしています。ちなみにシトリンは黄水晶と呼ばれるだけあって黄色ですが、トパーズの方は青など他の色もあります。シトリンの意味は輝き生命力、トパーズは友情、希望などとなります。
12月:→トルコ石、ラピスラズリ、タンザナイト→トルコ石は正式名称をターコイズという空色の石です。インディアンジュエリーなどに使われるのは実際に彼らがこの宝石を神聖視していたからです。ラピスラズリは日本語では瑠璃(るり)と呼ばれる深い濃紺の色です。エジプトなどでは非常に神聖な石として崇められました。最後のタンザナイトはアフリカのタンザニアで発掘された石です。色は紫に近い青です。比較的新しい宝石でもあります。それぞれの意味は、トルコ石が成功、勇気、行動力、ラピスラズリが真実、高貴、タンザナイトが空想などです。この空想というのはこの石が持ち主の想像力を高めてくれるからだそうです。
誕生石を楽しむ方法
誕生石はその美しさだけでなく、身につけ方を変えることによってもいろいろと楽しめます。例えば一つ目は月ごとに身につける宝石を変えてみるという方法です。1月はガーネット、二月はアメシストという具合です。他にも通年で自分の誕生石や星座石を身につける方法や、他にも東南アジアなどで親しまれている曜日ごとの誕生石を身につけるという楽しみ方もあります。それぞれの曜日に対応する宝石としては以下のようになっています。
月曜日→ムーンストーン
火曜日→ピンクサンゴ
水曜日→エメラルド
木曜日→イエローサファイア
金曜日→ダイヤモンド
土曜日→サファイア
日曜日→ルビー
国によっても異なる誕生石
日本に伝わる誕生石はアメリカなどで決められた物に似ているようですが、他の国々では月の誕生石が違っていることもあります。例えばイギリスでは水晶の人気があるため4月の誕生石は水晶です。また5月はクリソプレーズ、7月カーネリアン、9月ラピスラズリとかなり違っています。国ごとにいろいろな誕生石があるので調べてみると面白いかもしれません。
いかがでしたか?誕生石にはいろいろな歴史、意味、付け方などがあるようですね。自分の月の誕生石はもちろん、自分が必要としているいわれを持つ石を身につけてみてはいかがでしょうか。何か不思議な力がもらえるかもしれませんよ。