美しく輝くダイヤモンドには、ハイクオリティなものほど鑑定書と呼ばれるダイヤモンドのグレードを表す証がつけられます。この鑑定書をつけるのが、宝石鑑定の鑑定士。また、鑑定士は買取査定なども行います。ダイヤモンドの鑑定士とは、どのような仕事なのでしょうか?
今回は、ダイヤモンドの鑑定士の仕事内容とともに、どのような手順でダイヤモンドの鑑定士になれるのかご紹介します。
ダイヤモンドの鑑定士って?
ダイヤモンドの価値を決める鑑定書をかく鑑定士。実は医師や弁護士のような国家資格はないのです。かといってだれでも気軽に鑑定士になれるわけではなく、いくつかの期間によって鑑定士としての資格認定を行っています。講習や研修を受け、ダイヤモンドに関する知識はもちろん、鑑定に関する技術を学び、修了をもって資格取得するのが一般的です。
ただ日本での鑑定機関は民間組織であることから、鑑定士の能力も技量も安定したものとは言えません。鑑定士として、信頼できる確かな資格はないのでしょうか?
アメリカにある、アメリカ宝石学研究所、通称GIAと呼ばれる組織はダイヤモンドの4Cに基づくグレーディングを作りました。このGIAは現在の鑑定機関で最も信用のある、世界基準であるといっても過言ではありません。そんなGIAが認定する鑑定士の資格をGGといいます。
確かな能力と知識を持つ鑑定士のみが持つ資格「GG」
Graduate Gemologistの略で「GG」です。
長期間にわたるカリキュラムを修了し、試験に合格しなければ取得はできません。例を挙げると、GIAのカリキュラムは授業時間でいうと700時間以上、半年間に及ぶものとなっています。GGの資格を持った鑑定士はダイヤモンドに関する知識も豊富で、鑑別や鑑定に関するたくさんの技術や技能も持ち合わせています。また、長期間の研修のため、費用も相応必要となります。GGの資格を持つ鑑定士は、信頼がおけるのも無理はありません。
日本でGGの資格を取るにはGIAで通信教育で学べます。2015年までは日本にもGIAキャンバスがありましたが今では閉校しています。2016年には日本語での教育プログラムを開始されました。
Eラーニングコースとラボクラスと選べます。
Eラーニングコースはカラーストーンエッセンシャル、ダイアモンドエッセンシャル、ダイアモンドグレーディング、カラーストーン、宝石鑑別の5コースからそれぞれ選べます。学費は実技器具代を除いて$5,750.00ほど。オンラインで申し込みができます。
ラボクラスは通信教育と通学教育を合わせたプログラムで、Eラーニングコースと同じコースが提供されます。ラボクラスはGIAキャンパスや指定の展示会や業界団体を通じての提供となるため、日本以外で受講することとなります。
(参考資料:GIA 教育「https://www.gia.edu/JP/gem-education」)
世界で通用する宝石学資格「FGA」
FGAとは、国際的に認知されている宝石学資格。
GIAのGGは商売やビジネスに特化した宝石知識の傾向があるのに対し、FGAは学問を中心とした宝石の知識や鑑定・鑑別を学びます。その為、難易度はFGAが最も高く、2013年には英国政府により学士号と同等レベルの資格であると認められました。
FGAもGGと同様に通信教育にて資格を取得します。日本では、日本宝飾クラフト学院で取得することもできます。かかる費用は通学コースで約152万円、通信コースで約134万円。
基礎コースのファンデーション・コース(初級)とさらに深い知識を得るディプロマ・コース(上級)を修了したのち、卒業試験に合格しないと取得できません。FGAは宝石に関する知識はもちろんですが、実際にルーペや分光器など機材を用いて観察することを重要視しています。原石やルースを売買する状況では大型の機械などはもちこめず、自らの目とルーペのみで判断して取引を行うからです。実践に役立つ知識や技術の習得が、FGAの特徴であるといえます。
日本で認定しているJBS宝石鑑定士
JBS(ジャパンジュエリービジネススクール)という日本の機関が認定している資格もあります。
JBS宝石・ジュエリー鑑定士です。JBSでSTEP I、STEP II、STEP IIIの3つの修了書を取得した後に、JBSジュエリー鑑定士の資格を認定します。受講料はステップごとの分割でも一括でも申し込み可能です。STEPⅠが165,000円、STEPⅡが135,000万円、STEPⅢが180,000円、それに宝石学総論の15,000円の合計で495,000円が必要となります。本当の意味での鑑定士を育成するために、世界で唯一、宝石・ジュエリーの価値を査定できるカリキュラムを提供しています。
(参考資料:ジャパンジュエリービジネススクール「http://www.jbs-web.jp/kantei/cur.php」)
国内最大手鑑別機関の「DC」(Diploma of CGL)
中央宝石研究所が認定する資格。
特別研修生コースで取得することができ、宝石基本科コース、ダイヤモンドグレーディングコース、色石専門科コースの3コースからなっています。ダイヤモンドなどの主要宝石の知識の習得に、ダイヤモンドグレーディングと宝石鑑別の実習を中心とした、専門的で実践的な内容の約半年の研修コースです。費用は550,000円(税別)と器材費(別途案内)となっています。入学時期は4月, 10月。全体的に分かりやすい内容と評判の良い教育コースです。
(参考資料:中央宝石研究所(Central Gem Laboratory)「http://www.cgl.co.jp/cgl/seminar.html」)
ダイヤモンド鑑定士の資格が役立つ就職先
ダイヤモンドの鑑定書を発行するGIAや中央宝石研究所は、まさにダイヤモンド鑑定士の資格が必要な就職先となります。しかし、鑑定士としての就職先は大変限られています。そうなるとそれ以外の就職先となりますが、宝石店でのバイヤー、ジュエリーデザイナー、クラフトマン、販売員となります。最近ではリユース業界の買取査定者も多くなっています。
また、資格があるから問答無用で就職できるほどの効力はありません。ダイヤモンド鑑定士の資格はどちらかというと、すでにその業界に身を置いている人が仕事上で必要となり、取得に至る場合が多いからです。ですが、ダイヤモンドや宝石の知識が全くない状態で業界に飛び込む場合、宝石業界の基礎中の基礎から学べ、ルーペの使い方から宝石の種類、鑑別・鑑定の知識が得られますので、持っていて無駄でもありません。特にJBSジュエリー鑑定士資格は資格試験だけを受けるのではなく、カリキュラムを受講し、最終的には試験に合格をするという流れなので、初心者の方にはお勧めの資格です。
まとめ
今回はダイヤモンドの鑑定士と資格についてお話ししました。誰もが知っているほどの有名な宝石ダイヤモンドですが、そのダイヤモンドにかかわる鑑定士やその資格についてはほとんどの方が知らない、とても限られた世界です。鑑定士やジュエリーデザイナーだけでなく、販売員や買取査定者であっても確かなダイヤモンドの知識を身に着けていて損はありません。
少しでも参考になればうれしいです。