白い光沢を持ち、銀色に輝く「プラチナ」とても美しいですね。日本では、別名「白金」とも呼ばれています。プラチナは非常に希少価値が高く、ジュエリーや工業用品などに使われています。プラチナはどうやって作られ、どのように使われるのか?その魅力をご紹介します。
プラチナの歴史
プラチナの誕生は、隕石の衝突によるもので、20億年も前にもたらされたものだと言われています。現在においてプラチナを採取できる地層は、約6500年前の隕石の衝突によってできたものだけです。プラチナは古くは、古代エジプト第18王朝時代に、ファラオの宝飾品として、わずかながら使われていました。現在残っている一番古いプラチナ製品は、ルーブル美術館収蔵の「ゲーテの小箱」と呼ばれる小さな箱です。これは紀元前720年から紀元前659年頃のものだとされています。また、10世紀頃にも南米でジュエリーとして使用されていて、純度は80%と高いものでした。このことから、この時代にすでに高い精錬技術があったことがわかります。
1735年、スペインの軍人・探検家・天文学者でもあるアントニオ・デ・ウジョーアがホルヘ・フワンとともにペルーに渡り、1736年から1744年までペルーに滞在していました。この間にコロンビアのピント川で、銀色の金属を発見します。これがプラチナの「再発見」である、とスペインに帰国後に出版した「南米諸王国紀行」に記しました。
どこで産出されるの?
主な産出国は、南アフリカとロシアです。これまで人類によって産出されたプラチナの総量は約4000トン、体積にして200㎥(一辺が6mの立方体)です。とても希少価値が高いことがうかがえますね。南アフリカのブッシュフェルトには東西400Km、南北300kmの広大な岩林があり、その中に白金を含む厚さ十数センチの地層が見つかっています。南アフリカ・ロシアに次いで、多く産出される地域は、北米です。日本でもわずかながら、北海道の甘塩川・石狩川の川砂中からプラチナが見つかっているほか、新潟県でも発見されました。
プラチナはどうやって作られるの?
1トンの原鉱石を砕いて溶かし、不純物を取り除いて、精錬できるプラチナはわずか3gです。年間にして約150トン。金は2500トンですから、その希少価値がおわかりいただけるでしょう。鉱山から地下に潜り、発破をかけ、原鉱石をかき出します。その後、精錬してプラチナを生成します。採掘からインゴット(金属の塊)になるまで8週間もかかります。生成にかかる時間は、金の約3倍です。純プラチナは非常に柔らかく、そのままではジュエリーとして使用することができないため、銅やニッケルを混ぜて、加工しやすくしています。
プラチナの純度について
プラチナの純度は、千分率(パーミル)で記されます。日本国内で、ジュエリーとして販売されるプラチナの品位は、pt999、pt950、pt900、pt850の4区分です。ISOおよび一般社団法人日本ジュエリー協会は、ジュエリーとして呼べるプラチナの純度はpt850以上と定めています。Pt850より純度の低いものは、国内ではプラチナ製品とは認められません。また、造幣局の品位証明区分もこの4区分を採用しています。純プラチナは、非常に柔らかいため加工には向いていませんが、縁起物などに使われます。Pt950は耐久性もあり、ジュエリーや時計などに使われます。Pt900、pt850はとても加工しやすいので、結婚指輪、イヤリング、ピアスなど繊細なデザインのジュエリーに使用されます。
和名は「白金」と言います。「白い金」をそのまま英語にすると「ホワイトゴールド」になるので誤解されがちですが、ホワイトゴールドは金をベースとした合金で、まったく別のものです。プラチナは、東南アジアでも「白金」と打刻されることがあります。
どんな風に使われているの?
ジュエリーに使われるほか、多方面で使用されています。化学的に極めて安定していることから、電極、るつぼ、白金耳、度量衡原器などに使用されています。また触媒としても高い活性を持ち、自動車の排気ガスの浄化、点火プラグや排気センサーなど、過酷な状況にさらされる部品にも使われています。化学工業でも、水素化反応の触媒、燃料電池、なじみ深いところではハクキンカイロの燃料電池としても利用されています。過酸化水素水を水素化する触媒としても利用されていることから、ソフトコンタクトレンズ用過酸化水素消毒システムの中和用ディスクとしても使用されています。
ジュエリーにおいてのプラチナ
多くの人が知っているプラチナと言って、筆頭に挙げられるのはジュエリーとしてのプラチナではないでしょうか。金と並んで、絶大な人気を誇る貴金属です。硬度に優れ、耐久性も高く、ダイヤモンドを輝かせる効果があるプラチナは、ジュエリーとしてこれ以上のものはないとも言えるでしょう。
なぜ結婚指輪・婚約指輪はプラチナなの?
日本では、結婚指輪・婚約指輪にプラチナが好まれていますが、それにはいくつかの理由があります。まずひとつめは、希少価値があるということ。日本人は白色を好み、神聖な行事では白い衣装を着るなどということをしてきました。ほかの金属と比べて耐久性が高く、ダイヤモンドとの相性がいい、ということも大きな理由の一つです。プラチナは、金属アレルギーを起こしにくいということで、多くの人から愛用されています。
人気のプラチナジュエリー
ほかのジュエリーや時計、洋服に合わせやすいことから、プラチナジュエリーはとても人気があります。ほかの指輪と重ねづけができるシンプルなプラチナリングも重宝します。人気のプラチナジュエリーと言えば、「カルティエ」「ブルガリ」「ティファニー」など、高級ブランドが名を連ねます。日本国内では、ヴァンドーム青山、ミキモト、俄なども人気です。
プラチナのお手入れ方法
プラチナは、汗や酸、熱に強い性質を持っていますが、長く使っていると汚れが蓄積し、黒ずんできてしまいます。どんなお手入れをしたらいいのでしょうか?
- ぬるま湯に少量の中性洗剤を入れます。プラチナ製品をしばらく浸けておき、柔らかい布で水分を拭き取ります。宝石は洗剤に弱いものもあるので、宝石がついている場合は、浸け置きするのは控えましょう。
- 宝石がついているプラチナジュエリーのお手入れは、ぬるま湯に中性洗剤を入れたものに、布を浸します。その布で、宝石に当たらないよう注意しながら、プラチナ部分をよく拭いてあげるようにしましょう。
- とても硬い金属ですが、使っているうちに細かい傷がつくことがあります。ジュエリークロスで磨くように拭きましょう。
- 傷が目立つ場合はジュエリーショップで「新品仕上げ」という研磨をしてもらいましょう。
下取りやリフォームを活用しましょう
プラチナは産出量がとても少なく、希少価値があるということがお分かりいただけたと思います。あるものをすべて採取してしまえばそれでおしまいです。専門店では地金の買い取りをしていますし、ジュエリーショップでも、使用しなくなったプラチナの下取りやリフォームを行っています。ぜひ活用して、限りある鉱物を大切にしましょう。
プラチナについて、いろいろな角度から掘り下げてみました。プラチナを知って、その魅力を再確認していただけたのではないかと思います。おうちに眠っているプラチナジュエリーがあれば、少しお手入れをして身に着けてみませんか?きっと、いつもの装いがワンランクアップすることでしょう。